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現代において、最新テクノロジーを活用する天才といえば、
事業化でありエンジニアのイーロン・マスクをおいて他にいないでしょう。
Penでは、彼の思い描く世界と手がける事業から、我々人類の未来を予測しています。
NASAから『絶対にできるはずがない』と言われながら
成功するまでやり続けた

民間主導の宇宙ビジネスを広める活動に取り組む“宇宙エバンジェリスト”青木英剛氏はこう語ります。
「『スペースX』について関心するのは開発のスピード感。ロケット打ち上げに失敗した場合、通常なら計画が数年止まってしまうところですが、スペースXは数ヶ月以内に次の打ち上げを予定する。資金面の問題ではなく、他が一発必中で臨むのに対して、スペースXは失敗を重ねてもどんどん前に進む。開発姿勢の違いです」
青木さんはスペースXの開発拠点『スターベース』を訪れた際、
いたるところに転がる巨大ロケットを見て衝撃を受けたといいます。
「ロケットの再利用についても、NASAやボーイング社など、業界のあらゆるところから『絶対にできるはずがない』と言われながら、成功するまでやり続けた。構造としては特に画期的なところはなく、既存の技術の組み合わせなのですが、粘り強く改良を重ねていくことで実現したのです」
オンライン金融サービス『PayPal』売却で約200億円を得たイーロン・マスクが最初に着手した事業、スペースX。
ロケットの打ち上げも当初は失敗が続きましたが、2008年に初めて軌道到達に成功すると、
以後十数年の間に百数十回を超える打ち上げを成し遂げてきました。
NASAとの業務提携のもと、国際宇宙ステーションへの貨物補給ミッションをこなす一方、
衛生コンステレーション事業にも参入し、
現在では「スペースXがなくなったら宇宙開発が停滞する」と青木さんが言うまでの存在となっています。
KDDIでそのスターリンクを担当するLX基盤推進部長の鶴田悟史氏。
「低軌道に多数の人工衛星を投入することで、高速かつ低遅延のデータ通信を提供するという構想自体はかなり昔からあり、さまざまな企業が挑戦しては撤退してきました。それを本当に実現させてしまったというのは驚きでしたね」
スペースXが他に先んじて事業を軌道に乗せることができた要因のひとつは、自社開発の人工衛星を大量生産し、
自社開発可能なロケットを大量生産し、再使用可能なロケットを自前でもつことでコストを大きく圧縮できたことです。
「宇宙開発における課題のひとつがロケットの打ち上げコストです。スペースXは過去の失敗を分析した上で、スターリンクを経済的に回るモデルにもっていった」
と青木さんは語ります。
このアプローチは『テスラ』にも共通します。
テスラはEV(電気自動車)を生産するとともに、EVに欠かせない急速充電器『スーパーチャージャー』や充電施設を自社開発。
充電コネクタ規格『NACS』はフォード、GM、ボルボに続きメルセデス・ベンツも標準採用することを発表しており、
事実上北米での標準規格になることが決定的となっています。
2050年までに100万人の火星移住を目指す
またスペースXのユニークな点は、数々のプロジェクトの先に『人類の多惑星種化』を見据えていること。
そのため2050年までに100万人の火星移住を目指すとマスクは語っています。
なぜなら彼は、なんらかの原因で地球が滅亡する可能性を本気で危惧しているので、
その時に備えて、他の惑星で生き残ることができるようにしておくべきという考えです。
スペースXに限らず、テスラであれば電化によって二酸化炭素の排出を減らし、
地球温暖化を止めるため、『ニューラリンク』は人間拡張によって、
人間が急速に進化するAI(自公知能)の支配下に置かれないようにするため、といった具合に、
事業を興す背景には、常にこうした危機感があります。
火星移住に高速チューブ列車、機械につながる脳、地球滅亡に人工知能の反乱……。
SFマニアとして知られるイーロン・マスクが取り組む事業とその目的や動機はSFチック。
しかし、ただ空想を語るだけではなく、それらに大真面目に取り組み、スペースXやテスラで成果をあげてきました。
荒唐無稽な言動で世間を騒がせたかと思えば、時に強引に、時にしたたかに事業を推進するイーロン・マスク。
彼が次に見る夢はどんなものなのでしょうか。
本誌ではイーロン・マスクが開発した真空チューブ列車構想や、
脳とコンピュータをつなぐ技術開発を目的に設立された『Neuralink』なども紹介されています。
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