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清らかで、体にすっとしみわたる……。
そんなラーメンを食べに行きたい日がありますよね。
ラーメンはもはや芸術作品。
dancyuではそんな美しいラーメンを紹介しています。
東京・八王子『麺笑巧真』
「わぁ、きれいね」
ラーメン店には珍しい年配のご夫人2人組が目を細めてささやき合う。
そっと口をつけた後、「やさしい味」「品がいいわ」とうっとり一言。
その前にあるのは、塩らーめんです。
東京・八王子『麺笑巧真』の一杯は目にも舌にも麗しいもの。
スープは澄んだ黄金色。
和の趣を感じるすっきりとした味わいながら、やわらかな旨みがふんわりと膨らみます。
「一生飲んでいられるかも」
対する麺は端正なストレート。
パツンとしたハリともちもち感は細麺ながら存在感があり、スープをしなやかに持ち上げます。
上に盛られたチャーシューは大輪の花のように艶やかで、ねぎの青みがロゼ色を引き立てます。
花をくすぐるぶどう山椒の香りも風雅です。
こんなたおやかな一杯を作るのは熟練の職人に違いないと思いきや、店主の石川巧真さんは26歳の若さ。
生家は八王子の人気ラーメン店『吾衛門』。
高校までサッカー一筋だった彼が、卒業後、進路に選んだのは父と同じ道でした。
ただし、追い求めたのは地元にはない清らかなラーメン。
2年半の修行を経て、たどり着いたスープで勝負に出たのがこのお店です。
塩ラーメンに使うのは魚介のみ。
鰹節を主体に鯖節やウルメ煮干しなどを毎朝煮立ててだしをひきます。
和を感じる味わいはそのためです。
2種類の塩と白醤油でつくる塩だれには昆布だしをブレンド。
そこに煮干し油を落とすことで行く中にも魚介の旨味が重なって、ふくよかな輪郭を描き出します。
醤油ラーメンも同じく透明感のある仕上がり。
こちらには鶏ガラと豚ガラに煮干しだしを合わせ、香ばしく厚みのある味わいに仕立てています。
そのラーメンと気配りのある接客に惚れ込んで、週2回通う86歳のおばあちゃんがいれば、
子連れの家族も気軽にやってきます。
「小さな子からお年寄りまで、みんなを笑顔にしたい」
若者の初志は店名にしっかり刻まれています。
東京・本郷三丁目『中華蕎麦 にし乃』
黄金色に輝くクリアなスープを一口啜れば、清涼感あふれる山椒の香りが鼻に抜けます。
後を追いかける煮干しの風味、そして、澄んだコクが味蕾を覆います。
口中に広がる味わいには淡麗でいながらも複雑味を帯びた深みがあり、舌にまろやかな余韻を残します。
和食の椀物を思わせるそのスープは、丸一日水出しにした昆布と干し椎茸、煮出しのだしに、
鶏・豚のだし、アサリだしと三つのだしをブレンドしたもので、そのバランスのとり方が実に巧み。
素材のどれもが突出することなく丸みを帯びた慈味を醸し出し、
オーナー・水原裕満さんが理想とする“上澄みをすくったような味”に仕上がっています。
白醤油や魚醤ベースのたれでコクを添え、淡麗なスープの味わいを損なわぬよう、
山椒は高知県の仁淀川山椒と中国の山椒の2種を使い分け、痺れ感を抑えつつ香りを抽出。
すっきりとして爽やかな風味を楽しませてくれます。
素材の旨みを十二分に生かしたいっぱいは、最後の一滴まで飲み干せる美味しさです。
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