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高齢者にとってうつ病は怖い病気ですが、
その背景には、歳を取るほど、セロトニンという神経伝達物質が減ってしまうことがあります。
セロトニンは、うつ病改善にとって大きなカギとなるそうです。
毎日が発見では、精神科医の和田秀樹先生のコラムにて
『なぜ高齢になるとうつが増えるのか』を掲載しています。
セロトニンを増やすことがうつ病改善のカギ
文:和田秀樹
歳を取ると、親との死別や定年退職による仲間との別れなど、多くの喪失体験を経験します。
また、身体機能や脳の機能も衰え、それらを自覚することで落ち込むこともあるでしょう。
そういった心理的要因でうつ病になることは事実です。
一方、私も長年、老年精神医学の仕事をしていますが、
そういう心理に対して、きちんとしたカウンセリング治療とまでは言えなくても、
5~10分程度、その気持ちを分かってあげるような治療を行い、
薬(脳内のセロトニンを増やす薬)を飲んでいただくだけでうつ病が良くなることは多いものです。
そういった多くの患者さんを診るにつけ、
高齢者にとってセロトニンという神経伝達物質は大切なのだと痛感します。
仮面うつ病は本当のうつ病に移行することが多い
以前、『仮面うつ病』という、それほど精神的な落ち込みは目立ちませんが、
うつ病の薬を使うと改善する身体症状(肩こりや頭痛が多い)が問題にされたことがありました。
いまでもその言葉を使う精神科医もいますが、WHOによる国際分類での正式名称は“身体化障害”、
アメリカ精神医学会による正式名“身体症状症”と呼ばれています。
仮面うつ病がその名で呼ばれるようになったのは、肩こりや頭痛がずっと続き、原因を調べてもわかりませんが、
うつ病の薬を使うと、症状が改善することが多いからです。
加えて、もう一つの理由は、この症状を放っておくと、意欲が低下したり、夜眠れなくなったりして、
本当のうつ病に移行してしまうことが多いためです。
実は仮面うつ病でなく、脊柱管狭窄症のように本当に痛みの強い病気でも、
うつ病の薬が効くことは多いものです。
整形外科などで腕の良い医者は、意外にこういう薬を使います。
私自身、数年前に帯状疱疹にかかって、一生涯でいちばん痛い思いをしたことがあります。
いろいろな痛み止めを使って多少は痛みが和らいでも、痛くてつらい状態は変わりません。
ところが、前から痛みに効くと言われていたうつ病の薬を使ってみると、
かなり楽になったことを覚えています。
完全に痛みが消えるわけではありませんが、仕事に差し支えないレベルになりました。
そういうこともあって、私は腰痛をお持ちの高齢者の方にうつ病の薬を出すことがままあるのですが、
多くの場合とても喜ばれます。
本誌では高齢者のうつ病の一般的な症状や、薬の見直し、脳の休息なども紹介されています。
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