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なぜ人はこれほどまでに人間関係に悩み苦しむのでしょうか。
PRESIDENTでは、その答えと解決する術を、自身も悩み苦しんできた高僧・牧師に聞いています。
今回は佛心宗大叢山福厳寺の住職である大愚元勝さんに聞いた『苦しい人間関係』の手放し方をピックアップします。
1億円の借金を背負い大切な仲間も離れた
「あいつのせいで、自分はこんなに苦しんでいる」
「あんなやつ、いなくなればいいのに」
こんなふうに思ったことが一度もないという人は、おそらくいないでしょう。
人間関係の悩みはお釈迦様の時代から永遠のテーマでもあります。
しかしこの苦しみは、自分で『手放す』ことができるのです。
私は愛知県小牧市にある、540年の歴史を持つ『福厳寺』という禅寺に生まれました。
初めて経本を手にしたのは3歳のとき。
葬儀に連れていかれたのが5歳でした。
将来は僧侶になるものと皆から思われていましたが、私は僧侶にだけはなりたくなかった。
そのため大学卒業後は寺を飛び出し、海外を放浪したり、健康関連の事業を複数立ち上げたりしました。
しかし事業がうまくいかず、1億円近い借金を背負って眠れない日々を過ごしたこともありました。
離れてほしくない人が離れていったり、逆に離れてほしい人が離れてくれなかったり、
人間関係でも大いに悩みました。
そんな日々を経て気が付くと、仏様にすがっている自分がいたのです。
「お寺の子」と呼ばれるのがいやで、あんなに反発してきたのに……。
現在は事業を人に譲り、仏教を広めることを第一と考え、住職としての法務の合間に、
みなさんから寄せられる悩みに動画で答える『大愚元勝の一問一答』をYouTubeで配信しています。
幸い多くの方が見てくださり、登録者は63.5万人を超えました。
『我慢』と二つの矢
寄せられる悩みの多くは人間関係に関するものです。
誰でも「自分はあの人の何倍も仕事をしているのに、なんで給料が同じなんだろう」とか
「上司は自分のことを全然評価してくれない」という気持ちになったことがあるでしょう。
『我慢』という言葉がありますが、これはもともと仏教の言葉で、
『我』と『慢』に分けられます。
『我』はエゴともいわれるもので、
「この全宇宙で、私こそ最も優先順位が高く、最も大事にされなければいけない存在である」
という感覚です。
これは自分を守るための本能なので、誰にでもあるものだと思ってください。
では『慢』とは何か。
『慢』とは他人と比べて、自分のほうが上か、下か、同じくらいか、と比較する心です。
先ほどのような職場における不満もそうですし、同窓会で久しぶりに同級生に会って
「いま、どこに勤めているの。えっ、トヨタ」という会話から
「ああ、俺はこいつより下だな」と勝手に決めつけてしまったりする。
そんなふうに他人と自分を比較する『慢』によって、自分の心をグサグサとナイフで刺しているわけです。
このような私たちの心理を観察して、お釈迦様は、
「私たちの心の苦しみは、実はほとんど私たちが自分で作り出したもので、私たちはいわば苦しみを自作自演している」
ということを発見されました。
どういうことかというと、私たちは「悲しい」「つらい」「この人が許せない」など、
いろいろな感情を持ちます。
これらはいかにも外部が要因で生じているかのように見えますが、実は全部、自分の内側で作られたものなのです。
「そんなのはおかしい。天災による苦境や、家族が病気で死んだ悲しみも外部が要因ではないというのか」
そう思われるかもしれません。
仏教では、感情が生まれる様子を、二つの矢にたとえます。
まず『第一の矢』が外から突然飛んできたとします。
これは大きな地震のせいで家族が亡くなってしまった、というような自分ではどうしようもないことです。
だけれども、この『第一の矢』に加えて、私たちは『第二の矢』を自分で自分に放つのです。
『第一の矢』に関してはどうしようもありませんが、
自分の心をちゃんと見つめれば『第二の矢』を放つことは避けられる。
このような教えをお釈迦様は残されたのです。
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