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人生に迷ったとき、一歩を踏み出せないとき、頼りにしている言葉はありますか?
天然生活では、呪文のように唱えれば、うまくいくような気がする、そんな言葉をインタビューしています。
今回、小説家・吉本ばななさんの『人生を進ませる言葉』を紹介します。
言葉は重く捉えすぎず適度な距離感で

幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ
『キッチン』(KADOKAWA)より
孤独や喪失、生きること、暮らすことを深くていねいに掘り起こした吉本ばななさんのデビュー作です。
どのページをめくっても、珠のように磨かれた言葉は美しく、やさしく。
世界中、たくさんの人生に寄り添い、温かな光で満たしてきました。
小説家として立ったこのときからおおよそ40年。
『言葉』に対してさぞかしストイックな関係を築いてきたのでは?
そんな想像とは異なり、実際はとても軽やかでさっぱりとしているのでした。
「『言葉』を書くときに、こんなふうに伝えたいとか、ここを強調したいなどと意識することはまずないですね。意図をもってしまうと、それは受け取る人にも伝わってしまうでしょうし、物語のじゃまをしてしまう気もします」
発信する言葉と同様に、受け取る言葉にも適度な距離感を保っているという吉本さん。
毎日たくさんの本を読み、その数は普通の人の何倍にも及びますが、読むときはいつもフラットな状態。
メモを取ったり、ふせんを貼ったりもしません。
素直に言葉と向き合い、本の世界に集中あるのみ。
「言葉を重く捉えすぎない」と話す吉本さんが今回選んでくださった言葉は3つ。
旅先で思案し、ふわふわと頭に浮かんできたそう。
『あとは(読む側の)好みの問題だけで、(小説は)申し分ない』
父(評論家・吉本隆明氏)のひと言
吉本さんのコメント
「父の目が見えていた最後に読んでもらった小説『どんぐり姉妹』に対する言葉です。子育て期で忙しく、レベルが落ちたんじゃないかちょっと気にしていた時期で、『何かを卒業したんだ』と安心できた言葉です」
迷っちゃった でも大丈夫 きっと誰かが助けてくれるわ
安達哲著『バカ姉妹』(講談社)おねいちゃんの言葉より
吉本さんのコメント
「入口はほのぼの漫画なんですが、実はいろいろ渦巻いています。作中で主人公の双子の姉弟にいろいろあった末、最後に姉がいったセリフなのですが、そうだ、きっとそうなんだ!と目からうろこが落ちました」
突き詰めれば、それぞれの人生は謎で、やがてそれぞれがその謎を解かねばならず、
そしてそれをわかっていてもいなくても、そこにみんなして向かっているんだ。デイヴィッド・リンチ クリスティン・マッケナ共著/山形浩生訳『夢見る部屋』(フィルムアート社)より
自身が全自作を語る自伝的一冊。
吉本さんのコメント
「リンチはシュールな世界観の作品をつくりますが、自身は健康的な生活を送っている人。そのギャップに説得力が。この言葉は、あまりにも的確で、励まされます」
折に触れて思い出すというようなものではないけれど、どれも出会ったとき、吉本さんの心にピタリとハマったといいます。
とくに父からもらったひと言は印象深いもの。
自著について「申し分ない」と花丸をもらいました。
そのときに読んでもらった小説『どんぐり姉妹』の前2~3作が、その後の創作活動での出来の基準になっているといいます。
最後に、いま世の人々が求めている言葉について伺いました。
「みなさんが求める言葉がどんどん短くなってきていると思うんです。世間が長いコンテンツに耐えられなくなってきているといか……。だから、ひと言でズバッみたいな、短い言葉の中に凝縮されたものが求められているのかもしれません」
本誌では、他にも『人生を進ませる言葉』が紹介されています。
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