慌ただしい毎日の中で、本と向き合う時間をどうつくる?読書の豊かさを語り合う対談

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自分のいまの生活では経験できないスリリングな人生を知ること。

心の奥底に閉じ込めて忘れていた、懐かしい喜びに、ふと出合うこと。

全く知らない世界の扉が開かれ、脳が喜ぶような感動を味わうこと。

悲しみを溶かす一言を見つけること……。

は、私たちのさまざまな瞬間に寄り添い、勇気を与えるだけでなく己と向き合う時間も与えてくれるもの。

毎日がせわしなく過ぎ去ってしまう、そんなときこそ、小休止のように気になる本を開いてみませんか。

読んだあと、世界の色合いが違って見えます。

今号のクロワッサン特集記事では、現在は作家、書評家としても活躍する中江有里さんに、石田ひかりさんが読書にまつわる悩みを相談。

読書の豊かさを語り合い、お互いに贈りたい本を選んでもらいました。

 

 

あなたに贈りたい本

 

石田ひかりさん(以下、石田)  有里ちゃんは、やっぱり小さいときから本が好きだったの?

中江有里さん(以下、中江)  うちの親はほとんど本を読まなかったものの、なぜか私は活字が異様に好きな子どもで、新聞や薬の説明書などを手当たり次第に読んでいました。小説で最初に夢中になったのは、赤川次郎さんの作品。なので、ひかりちゃんと共演した映画『ふたり』の撮影現場に、原作者赤川さんがいらっしゃったときは、本当に感動しました。

石田 私の場合は母が本好きで、「勉強はそこそこでもいいから、本は読みなさい」と言われて育ちました。10代の頃はスマホも当然なかったし、仕事の移動や待ち時間にけっこう読書をしていたんですよね。だけど年齢を重ねるにつれ、日々のことに追われて読めなくなっているのが悩みなんです。それでも本に対する憧れはずっとあるから、本屋さんに行くとつい買ってしまって、「積ん読」になっているんですけど。

中江 本屋さんは、自分が気になっていることを発見する場所にもなりますよね。とりあえず本屋さんに行って棚を眺めて、興味を引く本を1、2冊買ってみて、読む態勢を整えることがまずは大事だと思うんです。

石田 読むのが億劫になったりはしないの? 私は「今年こそ本をたくさん読む!」って、30年くらい目標にし続けているけどできなくて(笑)。筋トレと一緒で、読書も常に鍛えていないとダメなのかなって感じています。

中江 読書も筋トレの感覚で、ゆったり始めてみたらどう? 1冊でも最後まで読めたら達成感を得られるから、いきなり厚い本を選ばないのもコツ。

石田 集中できる環境かどうかも、私にはけっこう大事。最近は駐車した車の中で本を読むと、はかどるんですよね。車はひとりになって落ち着ける、唯一の空間だったりするので。

中江 そもそも読書って、孤独な行為ですよね。今の時代は次々と流れてくる情報に疲れてしまいがちだけど、読書はいったん立ち止まるための非常口みたいなもの。流されないためのひとつのアイテムとして、自分に合う本や読み方を見つけられたらいいですよね。


 

 

本誌ではさらに、対談の続きとお互いが贈りあいたい本を紹介しています。

 

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