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東京スカイツリーの誕生を機に開発が進み、新しいお店も続々の下町エリア。
いっぽうで通りを歩けば、1度目の東京オリンピックの頃に同じように続々と誕生し、
長い時を経た老舗たちの健在な姿にも胸が熱くなります。
そんな新旧が共存する下町の物語のあるお店へ足を運んでみませんか?
今回は、OZmagazineで紹介されている名喫茶を紹介します。
古城 [since 1963 上野]

上野にある『古城』を紹介しているのは文筆家・喫茶写真家の川口葉子さん。
全国のカフェを巡り、雑誌や書籍、WEBで発信しています。
『古城』は東京オリンピックの頃に現オーナーである松井さんの姉妹のお父様が始められました。
高度成長期には集団就職で地方から状況した金の卵たちが、ここでクリームソーダやミルクセーキを飲んだそう。
床や壁の細部まで工夫が凝らされた店内は、50年以上経つ今も健在しています。
時代を重ねた喫茶店で「ブルーウィロー」と呼ばれるコーヒーカップに出会うと、古い友人に再開したような気持ちになります。
ブルーウィローは柳や二羽の小鳥などを描いた東洋趣味の図柄で、18世紀に英国から流行して世界的にしたしまれてきました。
昔ながらの喫茶店でみかけるブルーウィローの多くは、陶磁器メーカーのニッコーが大正時代から長年にわたって生産を続け、数年前に販売終了したもの。「古城」のテーブルにコーヒーが運ばれてきたとき、ああ、ここにも残っていたと、心がふんわり暖かくなったのです。
カップの図柄は中国を舞台にしたロマンティックな恋物語をモチーフにしていますが、喫茶古城のインテリアも負けず劣らずロマンティック。
優美なステンドグラスや大理石の凝った床は、すべて創業者の松井氏が情熱を傾けてデザインしたそう。ヨーロッパに魅了されていた松井氏は、一度も渡欧したことがないにもかかわらず、世界美術全集を見ながらヨーロッパの古城のような喫茶店を完成させたのです。
1963年のことでした。遠い国、遠い時代への憧れと想像力が生んだ豪著な空間は今、訪れる人を不思議な懐かしさで包み込んでいます。
川口葉子
ヨーロッパの古城のような喫茶店で、美しいステンドグラスの前の席で
いちごとブルーベリーのケーキ(コーヒーとセットで850円)を頂きたいですね。
カップは、女性は赤、男性はブルーで提供されるそうです。
長年愛されるミルクセーキ(700円)もぜひ。

本誌では他にも懐かしい気持ちになる、さまざまな喫茶店が紹介されています。
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