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ひとり登山をしたいと思ったことがありますか?
「ソロ登山で自由に歩きたい」
「怪我や病気をしたときが心配」
「自分の登山技術のレベルがわかりません」
いろんな声があると思いますが、今回日本を代表するアルパインクライマーであり、
国際山岳ガイドの天野和明さんがひとり登山についてPEAKSのインタビューに答えています。
あなたは積極的?消極的?
兄弟誌『ランドネ』の主催するハイキングイベントにて取材。
十数名の登山者のなかには、複数人での登山ではなく、ひとりでの登山を楽しむ人も少なくありません。
天野和明さんも自身がはじめて経験したひとり登山について話します。
「ひとりでのはじめての登山は高校一年生のとき。白峯三山に行ったんです」
日本を代表するアルパインクライマーである天野さんですが、その頃はまだ山の経験もなく、
親の反対を押し切って山登りに向かったそうです。
南アルプス北部の玄関口といえる広河原から歩きはじめ、北岳から間ノ岳へ、
そして農鳥岳とめぐって大門沢へと下りていきました。
天候はすぐれず、途中で視界がなくなって道に迷いかけたり、足の爪が剥がれてしまったりするなど、
いくつかのハプニングにも見舞われました。
そのときに揃えたのは、近所のホームセンターで手に入れたレインウェアとデイパック、
ウェアリングは中学校の野球部で着ていたジャージに、足元は白いコットンソックスとワークブーツという出で立ち。
山登りの経験は小学生のときに両親に連れられて近くの山に登ったくらいで、未経験に等しかったそうです。
「いまでは、よく行かせてくれたなと思いますね。でも、はじめに親に話したときは反対されたんです(笑)。
南アルプスにはそれまで行ったことがなくて、山の雑誌を見て出身地の山梨県内だしってことで登りにいったんです。1日目に北岳山荘、2日目に大門沢小屋に泊まって、最終日は大門沢を下っていったんです。そこで爪が剥がれてしまって……。
中学校での野球部の時に履いていた白い靴下が真っ赤に染まってて。痛くて、ほんとうにゆっくりとしか歩けなかった記憶があります。おばちゃんたちに次々と追い抜かれて、不甲斐ない気持ちでいっぱいでした。
下山したら晴れてきて、あのときは満足感でいっぱいでした。そのときの印象が良かったんですよね。高校生でひとりで歩いているのもめずらしいから、いろんな人に話しかけてもらったりしました」
天野さんは高校一年生の夏休みを振り返り、
「なにも知らなかったから不安にも思わず、山の怖さも知らなかった」と打ち明けます。
地図の見方を熟知していたわけではありませんでしたが、地図に表記されたコースタイムを計算し、
分岐点で道標を確認しながら歩くなど、わからないながらに事故を起こさないための対処を心がけていたといいます。
高校卒業後は、大学山岳部で本格的に登山を学び、単独での登山に行くことはほとんどなくなりました。
現在、ひとりで歩くのは体力づくりのためのトレーニングであったり、ガイドツアーの下見に行ったりするくらいだそう。
本誌では、ソロキャンパーの方が初めてのソロ登山に挑戦する記事も掲載されています。
こちらでは、必要な道具を揃えるところからご覧いただけます!
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