《ピーターラビットの故郷》作者が暮らした村『ニア・ソーリー』を旅する

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1902年にイギリスの出版社フレデリック・ウォーン社から刊行され、
昨年には120周年を迎えた世界中で愛され続ける絵本『ピーターラビットのおはなし』

Veggyでは、その作者であるビアトリクス・ポターが未来に残した湖水地方を旅します。

 

湖水地方の旅はウィンダミアから

 

大きなバックパックを背負った若者に小さな子どものいるファミリー、
一番多く見かけるのは犬を連れた高齢のカップルです。

 

イギリス中から人々が休暇を過ごしにやってくる湖水地方はイングランド北西部のカウンティ、カンブリアに位置する国立公園。

約2300平方キロメートルという広大な土地の中に、氷河期に形成された大小様々な無数の湖が点在し、
さらには標高900mのイングランド最高峰『スカーフェル・パイク』もあります。

 

湖水地方に来れば、山も森も湖も楽しめる、自然を愛するイギリス人にとっては理想的な保養地です。

 

ロンドンから電車で湖水地方へ向かうなら、まずユーストン駅を出発し、途中オクセンホルム駅で乗り換え。

4時間弱の電車旅の末、ようやく湖水地方南部の玄関口、ウィンダミアに到着。

レストランやB&B、お土産屋さんが数多く立ち並ぶこの街を湖水地方の旅の拠点にする人は多いです。

 

ウィンダミアという街の名前はすぐそばにある湖水地方最大の湖『ウィンダミア湖』からきており
この湖をボートで対岸に渡ったところにはビアトリクス・ポターが生前過ごしたヒル・トップという石造りの家があります。

 

 

実際に旅をした西田宏次郎さんは、
せっかく湖水地方を旅するのなら、ポターがこの場所からどんなインスピレーションを得て
絵本を描いたのかを考えながら旅をしたかったので、まず初めに彼女が一番長い時間を過ごした場所を見に行くことに。

 

ポターが過ごしたヒル・トップへ

 

ウィンダミアの少し南に位置するもう一つの町『ボウネス・オンウィンダミア』のはずれにある船着き場からボートに乗ります。

ほんの10分ほどの船旅で、運賃も一人1ポンドと良心的です。

桟橋を出発したボートの窓から遠ざかってゆく町を眺めていると、少しずつ指でスマホの地図を縮小するように
さっきまでは見えていなかった立派なお屋敷やホテルが次々に視界に入ってきます。

 

 

ツアーの団体客学生グループも多いウィンダミアにいたから忘れていたけれど、
湖水地方は歴とした別荘地です。

対岸の船着場に停まったボートを降り歩くこと20分ほど、ポターが暮らしたヒル・トップのある村『ニア・ソーリー』に到着。

 

ニア・ソーリー村のバス停。
ピーターラビットの飛び出しに注意!

 

ヒル・トップは現在、自然景観や歴史的建造物の保護を目的に設立された
英国最大の環境保護団体『ナショナル・トラスト』によって管理されており、
実際に家の中も見学できるようになっています。

 

当時ポターが使っていた食器や調度品などもそのまま残されており、
この家の玄関ホールや階段は彼女の絵本の中でも描かれているため、ロケ地巡りのようなことまで出来てしまいます。

 

『こねこのトムのおはなし』の絵の一つ。
この絵の玄関はヒル・トップの家の玄関をモデルに描かれています。

 

西田さんがチケットカウンターへ向かうと、そこにいたスタッフが日本人の女性だったので驚き。

すこし話を聞いてみると、たぶん50代半ばくらいで、もう何十年もイギリスに住んでおり、
最初はナショナルトラストでボランティアをしていたけれど、縁あって今の仕事をしているそう。

でも考えてみれば、コロナ前には毎年数万人もの日本人観光客が訪れていたような場所なのだから、
日本語を話すスタッフがいることはむしろ当然なのかもしれません。

 


 

本誌では、ピーターラビットの世界を旅するレビューの続きが掲載されています。

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