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クスリは病気を治すためのもの。
しかし、使い方を誤れば命を縮める結果をもたらすことがあります。
年齢を重ねていく中で、クスリとどのように向き合えばいいのでしょうか。
PRESIDENTでは、東大医学部卒医師・和田秀樹氏と医療ジャーナリスト・鳥集徹氏が
患者が持つべき心構えを教えています。
なぜ医者は多くの薬を出してしまうのか
和田:薬は年齢によって意味合いが変わります。今のご時勢、副作用の大きい薬は認可されない。40代で一つしか病気を持ってないのなら、薬についてそれほど心配する必要はないでしょう。
問題は、高齢者になって複数の病気を抱えたときです。現代の医学は臓器別診療で、循環器なら循環器内科、呼吸器なら呼吸器内科というように細分化されています。
病気が一つだけなら臓器別診療は悪くありませんが、高齢者になると複数の病気を抱えて、科を3つくらいはかかるのが普通です。各科の医者は自分が専門とする臓器しか診ず、よその科で出している薬をほとんど考慮せずに薬を出してしまう。もちろん併用禁忌とされている薬は最低限チェックしますが、その程度です。
結果、3つの科にかかって薬が10種類出たりしてしまう。一般的に薬は5種類以上飲むと副作用が出る確率が急に上がります。そこは注意が必要です。
鳥集:複数の科にかかり、同じ作用の薬を処方されることもあります。たとえば、内科で高血圧の薬をもらっているのに、膝痛でかかっている整形外科の医師が「血圧が高いから高血圧の薬を出しておきましょう」と処方箋を書く。逆に整形外科で痛み止めをもらっているのに、糖尿病でかかっている内科の医師が「痛いところがあるなら痛み止めも」と、薬をダブってもらっていた患者がいたと聞いています。
また、こんなケースもあります。痛み止めに使われる非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)は、副作用として胃腸や肝臓、腎臓に障害が出たり、血圧が上がったりします。胃腸障害でごはんが食べられなくなったら胃薬、血圧が上がったら高血圧の薬と、副作用で生じる症状に対して新たな薬を出す“処方カスケード”に陥る。薬がますます増えてしまうんです。
和田:医者は薬を出したいわけではないのです。今は医療費を抑えるために、薬をたくさん出したら診療報酬が減らされる仕組みになりました。しかも、今は院外処方が中心です。薬を出しても院外処方せん薬局の社長がポルシェに乗るだけで、医者は儲からない。
それなのに薬を出してしまうのは、現代日本の医療の根本に臓器別診療の教育があるからです。医師としての経験や知識を得る仕組みが臓器別で行われているために、自分の専門外の臓器の病気についてはよくわからず、併用のリスクを深く考えないまま薬を出す医者が多いのが実情です。
鳥集:薬の優先順位を考えるべきです。飲まなければ命に関わったり、症状が悪化したりする薬はゆうせんどが低い薬もあります。たとえば骨粗鬆症の薬は転倒して骨折することを防ぐために飲みますが、ビタミンDやカルシウムを食事からバランスよく摂ったり、運動して筋肉をつけることでも転倒骨折は防げます。そう考えると、よっぽどの場合は別として、特に優先度が高い薬ではない。薬をたくさん処方されている人は、どれが優先度の低い薬か、どうやって減らしていけばいいか、かかりつけ医に相談することを勧めます。
和田:たくさんの薬の中から必要なものをチョイスできるのは、人間を全体として診る総合診療医でしょう。ところが日本には総合診療医が少ない。それが問題です。
本誌ではインタビューの続きをお読みいただけます。
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