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全国各地で生み出されるヒット現象を探る日経トレンディの連載『地方発ヒット』。
今号では大盛況の犬連れ客に向けた旅館を紹介しています。
伊豆の温泉旅館が“愛犬家”シフトで好調
全国の犬好きから熱視線を浴びる、“ワンちゃんファースト”の温泉旅館が、
静岡県・伊豆長岡の『小松家八の坊』。
ターゲットを団体客から犬連れの個人客にシフトし、リニューアルに成功しました。
変革のきっかけは、従業員から上がった一言でした。
2020年1月、今後の運営について意見を聞こうと、社員6人を召集。
「どんなときに仕事への喜びを感じるか」との質問に全員が「犬連れのお客様を接客しているとき」と答えました。
当時も犬連れの宿泊には対応していましたが、「犬も客室に入れる」以外の特別なサービスはありませんでした。
自身も愛犬家である同社専務の望月敬太氏はこう語ります。
「おもてなしの対象が“飼い主とワンちゃん”になったらどんなに楽しいだろうとワクワクした」
全体の7割を占めていた団体客を手放すのは勇気が要しましたが、決意を固めた直後、新型コロナウイルスが到来。
団体の予約がゼロとなり、業務変更を行う事業者に、国が補助金を出すことも決定。
格好の追い風に乗り、21年の夏に再オープンしました。
客室の家具や床材も犬対応に変更。
特に、背板と座面が密着した部分に毛がたまって掃除しにくかった椅子は、
特注で新たに用意しました。
なんと、ラブホテルで採用されることが多い、背面と座面が離れた形状の椅子を参考にしたといいます。
合計6室ある特別室では、他と差別化を図るべく、
『犬との添い寝可』『犬と一緒に入れる風呂』といったサービスを導入。
犬が寝具の上で粗相をすると現状修復が困難なことから、犬連れ可の宿泊施設の多くは犬との添い寝を禁じています。
ですが、同館ではマットレスも新しく用意。
介護施設などでよく使われる、洗えるタイプのマットレスを見つけ出しました。
特別室の宿泊料金は、最も安い部屋で1人1泊2万5000円から。
改装前の4倍という強気な設定ですが、この6室から予約が埋まっていくほど人気で、
稼働率は9割に達しています。
改装により、客室数は31室から25室に減りましたが、
平均客単価は改装前の1万5000円から、2万3000円に上昇。
23年3月期の売上高は改装前の20年3月期にくらべ、2割アップし、過去10年間で最高額を記録したと言います。
また、犬の宿泊犬数は18年が年間約1500匹だったのに対し、22年は6000匹余りに上昇。
23年度は6500匹を見込んでいるといいます。
本誌では客室についてさらに詳しくご覧いただけます。
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