《養老孟司・池田清彦 特別対談》間違いだらけの健康常識、利権にまみれる医学界の常識

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日本人は考える能力を失ってしまった……?

利権にまみれる医学界の『常識』を疑えない日本人は、本当に『健康』なのでしょうか?

 

今回PRESIDENTでは、解剖学者養老孟司氏と生物学者池田清彦氏による特別対談が掲載されています。

 

日本人の誤った『健康常識』

 

 

池田:医療の一番の嘘は『健康診断』でしょう。

健康診断やがん診断を受けたら早期発見、早期治療で『健康』になって医療費が抑制されると言いますが、病気を見つけるのだから、受ければ受けるほど医療費は高くなるに決まっています。高血圧なら高血圧の薬を飲めと言われるけど、健康診断に行かなきゃ高血圧だとわからないんだから、そもそも薬を飲む必要もないわけです。

 

それでも健康診断を受けろと言われるのは、利権のシステムになっているからです。

日本には健康診断や人間ドックで食べてる人が大勢いる。彼らも食べられないと困るだろうから商売の邪魔をしようとは思わないけれど、少なくとも自分は受けるつもりはありません。老い先短いのに、1泊2日で人間ドックに行く暇なんてないですよ。

 

そもそも『健康』という概念がおかしいでしょう。人の体調はグラデーションをなしていて、普通はみんなどこか具合の悪いところを抱えている。完璧に健康だなんていう人はいません。

それなのに日本の医療は全部を治そうとするでしょう。

診療科が細かく分かれていて、足が痛いなら神経科に行け、胃が痛いと言ったら内科で診てもらえという。それぞれで薬をもらうから、7~8種類の薬を飲んでいる人も少なくない。人間の体は一つのまとまりなのに、まるで機械の部品のように分けて考えているんですよ。機械みたいに新品の足に取り替えられるわけじゃないのに、まったくおかしな話です。

 

養老:僕は解剖学をやっていました。

解剖学の定義は『正常な人体の構造を研究する学問』なんだけど、では正常な人体とは何かという話になっていく。ただ、そういう建前の話を考えても仕方がない。生きていくのに本人が文句なければそれでいいんです。

もちろん患者が痛いというのは気の毒だから助けてあげればいい。でも対処療法を超えた治療をして「命を助けてやった」と考えるのは医者の傲慢です。

本当は患者が勝手に助かるだけで、医者にできるのはその手助けにすぎません。

ただ、最近は患者のほうも「医者にかからないと助からない」と思い込んでいる。それが問題ですね。

 

池田:養老先生くらいの年齢になると、どこか痛いのでなければ医者なんて行かなくていいんだよね。今日はなんか調子が悪いなと思っていたら夕方に死んでいたというのが一番いい。それがもっとも医療費もかからないし。

 

養老:僕は医者にかかって毎日薬を飲んでいます。たぶん意味がないけど、飲まないと医者の機嫌が悪くなるから仕方がない。医者に気を使っているわけじゃないですよ。

池田君が指摘したように、システムの問題で、薬を出さないと医者は食べていけません。システムが壊れると、本当に医療が必要になったときに困ってしまう。僕がずっと病院に行きたくないと言っていたのは、一度医者にかかるとそのシステムに否応なく巻き込まれるからでした。

このシステムは壊してやり直すべきです。ただ、これで食べている人が大勢いると、現実にはそれも難しい。こういうややこしい問題は、もう『地震待ち』しかない。南海トラフ地震ですべてぶっ壊れて「ご破産で願いましては」になるのを待つのです。

 


 

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