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アマチュアによるモノ作りがいつ、どのような理由で大衆の趣味、
すなわち『DIY』として定着していったのでしょうか。
Daytonaでは、DIYを中心としたものづくり趣味を研究している目白大学・溝尻准教授にインタビューしています。
きっかけは戦後の持ち家社会化
人類の進化の歴史は道具を作る歴史だったと言ってもいいでしょう。
直立二足歩行によって自由を得た両手を巧みに操り、様々な道具を作ったことで今日まで発展してきました。
ですが、高度に工業化された現代社会では、各々で道具を作る機会は激減し、
ものづくりが一種の娯楽として消費されるようになりました。
目白大学・溝尻真也准教授によると、アマチュアによるものづくりが大衆の趣味として
すなわち『Do It Yourself』として親しまれるようになった起源は
戦後まもない時代のアメリカとイギリスにあるといいます。
「アメリカの歴史学者、Gelber氏は『Do It Yourself(以下DIY)』という言葉の起源は
1912年に発行された雑誌『subarbanlife』に掲載された記事だと述べています」
「壁の模様替えを自分で行うことを提案する記事の中で『This is going to be “Do-It-Yourself” deco-ration』というフレーズが使われている箇所があるんですね。これがDIYが公の場で自覚的に使用された最初の事例とされています」
ただし、実際にDIYが世界的に広く用いられるようになったのは1950年以降。
「戦後復興がひと段落したアメリカとイギリスでは、市民の暮らしが豊かになると同時に住宅を所有する機運が急速に高まりました。そうした中で市民の間で自宅をDIYするという風習が広まっていったと考えられています」
戦後のアメリカでは第二次世界大戦の帰還兵を社会復帰させるために
『復員軍人援護法(通常:Gl Bill of Rights)』という法律が施行されました。
これには大学への優先入学や授業料免除などの優遇制度のほか、住宅資金の給付なども定められており、
『持ち家社会化』を加速化させたといいます。
「実際のところ、DIYの決定的な起源というのは諸説あってはっきりしていないんですよ。
日本では『終戦後にロンドンの市民たちがナチスドイツとの戦争で崩壊した街を自分たちの手で復興させようと市民運動を展開した』という説がDIYの起源として広く語られていますが、これも根拠がはっきりしない。イギリスのDIYの歴史について研究した論文などを読んでも、そういった説にはほとんど触れていません。
1957年に創刊され、当時のDIYブームを牽引した専門誌『Do It Yourself』の創刊号では、編集長が創刊に至るまでの経緯を執筆していますが、そこにもロンドンの復興運動を起源とするストーリーは一切出てこないのです」
自宅の改修や庭づくりといった手仕事が
想像力を満たす新しい遊びとして注目された
当時の英米でのDIYブームの加熱っぷりは相当のものだったようです。
様々な企業が参入し、一般ユーザーでも使いやすい素材や工具が相次いで登場。
DIYの拠点として切っても切り離せない存在であるホームセンターもこの後に生まれました。
また、マスメディアでもDIYの話題は日常的に取り上げられ、
テクニックを紹介・解説するテレビ番組が数多く放映されました。
イギリスのテレビ番組に多数登場したburry bucknell氏はDIYの伝道師としてカリスマ的な人気者となり、
いまで言うところのインフルエンサーのような役割を果たしたといいます。
「この時代から郊外にマイホームを購入し、そこから都市部の職場に通うといったライフスタイルも増えてくるんです。こうした職住分離の傾向が強まったこともDIYが休日を豊かに過ごすためのレジャーへと発展していく要因のひとつだったと考えられます。
毎日都会のオフィスでデスクワークに勤しむ人たちの間で、自宅の改修や庭づくりといった手仕事が想像力を満たす新しい遊びとして注目されたわけです」
本誌ではインタビューの続きをお読みいただけます。
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