坂本龍一が求めた“終わりなき知の旅”としての読書【プライベート・ライブラリー『坂本図書』】

  • 更新日
  • 有効期限 2023.12.27

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2018年から2022年まで小説で連載さいていた『坂本図書』

音楽家の坂本龍一さんは、自身の読書体験を語り起こしたこの連載で、
豊かな思案とともに、本を読むことの喜びを教えてくれました。

 

その連載が書籍となり、2023年9月24日に発刊。

そして同日、坂本さんの蔵書を
手に取って読むことのできるプライベート・ライブラリー『坂本図書』も都内某所に誕生。

いつも坂本さんの傍らにあり、創作や思考の糧となった本の数々は、
これからも私たちに“読書の愉しみ”を教えてくれるでしょう。

 

婦人画報では、坂本龍一さんの『坂本図書』を特集。

盟友・鈴木正文さんが語る、
坂本龍一さんが求めた“終わりなき知の旅”としての読書をピックアップします。

 

坂本さんが求めた
“終わりなき知の旅”としての読書

 

 

稀代の“愛読家”として知られる坂本龍一さんにとって、読書とはどのような営みだったのでしょうか。

一般公開直線の『坂本図書』を編集者の鈴木正文さんが訪れ、その秘密を解き明かします。

 

知性と粋に満ちた坂本龍一の蔵書室へ

 

都心にひっそりと建つ、とあるビル。

表には看板も出ていない。

スマホの地図アプリはしかし、確かにこの場所を指している。

一抹の不安を抱えながら上階に上がり、廊下の奥へと進む。

すると目の前に、突如鉄製のドアが現れる。

 

『坂本図書』は「いつか古書店の店主になるのが夢だった」と語るほどの愛読家として知られる坂本龍一さんが
2017年からひそかに温めていた図書構想を形にしたプライベート・ライブラリーだ。

室内には坂本さんの血となり肉となった数千作の蔵書が並び、
書物に残る付箋や書き込みからは、
“教授”の関心や思案の跡を辿ることができる。

 

学生時代から、がんと闘病した晩年まで、常に書物を傍に置いて生活していた坂本さんにとって、
書物はどのような存在だったのか。

読書と創作はどのような関係にあったのか。

“教授にとっての読書”を知るべく、坂本さんの自伝『音楽は自由にする』と
『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』で聞き手を務めた鈴木正文さんとともに、
『坂本図書』を訪ねた。

 

創作のための読書
『TIME』と『async』

 

 

手がかりとなるのは、小誌連載で語られ、書籍『坂本図書』にも再録された36冊の本と、
同書の巻末に収録された坂本さんが晩年読んでいた10冊の本、
そして、ここ『坂本図書』に並ぶ蔵書たち。

鈴木さんはまず連載で紹介された書物に、時間に関するものが多いことに注目する。

 

「2017年の『async』はそのタイトルが示す通り、“非同期”がテーマのこのアルバムでしたが、その翌年に始まったこの連載には、時間と音楽にまつわる本が多く取り上げられていますね。

ブレッソンの『シネマトグラフ覚書』タルコフスキーの『Sculpting in Time』の回には、『async』のコンセプトを自ら謎解きしているような記述もあって、ああ、そうなんだな、と思い知りました。

カルロ・ロヴェッリの『時間は存在しない』をはじめ、時間に関する本が7、8冊選ばれています。九鬼周造にしても、いちばん有名な『「いき」の構造』ではなく、『時間論』を取り上げています。

2021年に舞台作品『TIME』を発表したことを思うと、坂本さんがどんなことを考えながら音(=音楽)づくりをしていたのかが偲ばれる選びですね」

 


 

本誌では、さらに鈴木さんが感じる坂本さんについてお読みいただけます。

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