長嶋一茂「空手家としてはまだまだ空手の門の前にも立っていない、志半ば」

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2023-04-24 発売号 (vol.96)

 

かつて『巨人の星』『空手バカ一代』に魂を揺さぶられた少年は皆、
一度はプロ野球選手を夢見、極新空手家を夢見ました。

30歳までは野球、30歳からは極新空手、二つの道を歩んできた長嶋一茂さん。

Fight&Lifeでのインタビューでは、
「まだその門の入り口にさえ立っていない」と自戒しながらも、
少年時代の見果てぬ夢を追う心のあり方に迫っています。

 

空手家としては
まだまだ空手の門の前にも立っていない、志半ば

 

 

野球の世界一決定戦『WBC』での侍JAPAN優勝に湧いた2023年早春の日本。

なかでも大会MVPに輝いた大谷翔平さんは、リアル二刀流として活躍する姿や、
盟友マイク・トラウトとの直接対決が
人気野球漫画『MAJOR(メジャー)』さながらだと大きな話題を呼びました。

 

実際、大谷選手自身も少年時代にこの漫画に胸躍らせ、
「主人公の情報に、野球がより好きになった」とかつて公言しています。

 

それぞれの時代に、少年たちのヒロイズムや冒険心、挑戦者スピリッツを無性に掻き立て
その人生も変えてしまうような漫画やアニメがあります。

昭和世代なら、それはもちろん野球漫画の金字塔として今も語り継がれる『巨人の星』であり、
極新空手を生み出した大山倍達の半生を描いた『空手バカ一代』でした。

 

どちらも表舞台の“光”同様、むしろそれ以上に苦悩や葛藤、挫折などの“闇”が描かれたことが
共感と克己精神をくすぐり、爆発的ブームを呼びました。

 

現在の50代、60代は少年時代、誰もがプロ野球選手を夢見ていました。

道着姿で超人たちをなぎ倒す空手家の自分を夢想しました。

 

その二つの夢を同時に叶え、昭和男子の憧れにして究極の“二刀流”を体現したのが、長嶋一茂さんです。

テレビでその姿を見ない日はないというほどメディアで活躍する長嶋さんですが、
言うまでもなくヤクルトスワローズ、読売ジャイアンツの2球団で計9年間活躍した素プロ野球選手であり、
退団直後の1996年からは子どもの頃から憧れていたという極真会館に入門、黒帯を取得しています。

 

体調を崩して道場から離れていた時期もありましたが、2018年、52歳で一念発起し大会出場を決意。

翌年の『国際親善空手道選手権大会』では海外勢を退け、
50歳以上80kg超級で銅メダルを獲得するなど、現在までに5大会に出場しています。

今年2月にTBS系で放送された『炎の体育会TV』では、3年ぶりの挑戦となった同大会で
激闘の末に前回を上回る準優勝を果たした模様が紹介され、
『同世代に勇気を与えた』など大きな話題となりました。

 

「空手家としてはまだまだ空手の門の前にも立っていない、志半ば」と話す長嶋さん。

 

真樹道場を見学するも母の反対で入門を断念

 

本格的に空手を始められたのは、プロ野球引退後の30歳から。

でも、それ以前から極真空手との接点があったそうですね。

 

「何年かは覚えていないけど、日本武道館での第2回世界大会(1979年)で僕、大山総裁にお会いしているんですよね。第3回世界大会のときが高校3年だったから、たしか中学1年か2年ごろかもしれない。

経緯は忘れてしまったけど、そのときに大山総裁が僕に青いマジックで色紙に『孝心壮挙』と書いてくださって。そのときの試合は正直、あまり覚えていないんだけど、総裁とお会いしたことだけは鮮明に。『空手バカ一代』に魅せられた人間ですからね」

 

高校時代はすでに野球に打ち込んでいたと思いますが、並行して極新空手家も見ていたんですね。

 

「だって、僕は小学校のときに真樹道場にも行ってますから。今は西麻布の星条旗通り沿いにあるけど、昔は高樹町(現在の南青山)の近くにあって、どうしても入門したくてお袋と見学に行ったんです。でも、稽古の最後の相手で真樹(日佐夫)先生がバタバタバターッとみんな倒しちゃって。

当時はサポーターも何もつけていなくて、素手素足の組み手でしたから『これはあなたにはやらせられない』とお袋が言って結局、空手道場に行けなかった。

それで野球に行ったというのもあるんですよね。さすがに小学生の頭でも野球と空手の両方をやるのは無理だと分かっていましたから。そこからだいぶ経って野球を引退して、30歳の時に極真の門を叩いたというわけです」

 


 

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