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キャンプでの楽しみはなんと言っても焚き火でしょう。
調理するだけでなく、静かに火を眺めていれば時間を忘れてしまいます。
文明の利器に頼らず確実に火を熾し長持ちさせる術とはなんでしょうか。
男の隠れ家では、アウトドアライフアドバイザー・寒川一さんが『焚き火の極意』を解説しています。
木を燃やすということが自然の循環へつながる
寒川さんは“焚き火の達人”と呼ばれています。
テントを積んで四国一周の自転車旅をした14歳のときからキャンプを楽しみ、
国内外のさまざまな地で火を熾してきました。
野外で過ごすことは長年の生活の一部です。
三浦半島で行う『焚き火カフェ』というアウトドアサービスも、始めてからすでに20年を数えます。
参加者は皆、寒川さんによる小さく美しい焚き火と、その作法に魅せられます。
「現代は調理する、暖を取るだけならバーナーで十分。けれど人間は何十年も前から焚き火を囲んで暮らしていました。おそらく焚き火に惹かれるという気持ちはこれからも変わらないものでしょう」
人が生きていくために火は必須です。
古代だけではありません。
もし自然災害によってガス・電気・水道が止まったら?
火があれば、川や池の水を漉して煮沸し、安全な飲料水を得ることができます。
カセットコンロやバーナーも使えない場合は?
焚き火の技が役に立ちます。
そのため寒川さんは、防災の観点からもアウトドア技術を広める活動をしています。
「便利な道具はたくさんあります。でも焚き火の手法を手放してはいけない。だから僕は幼稚園児にも焚き火を教えています」
もう一つ、大切な哲学があります。
「昔は、薪を燃やした灰は畑や庭に撒いていました。酸性の土を中和し、植物を健康に育てるためです。10年20年後をも考え、人は自然の循環の中にいた。木を燃やすとは、灰を散らすということです」
昨今は燃え残りや灰は持ち帰るのがマナーとされますが、それでは自然に戻すことはできません。
「持ち帰りがルールのキャンプ場では守るのが当然ですが、本来のあり方を考えればそれでは木を燃やす意味はない。枯れた木を燃やして最後は土に還すのは人間にしかできないことです」
だから薪はできるだけ買わず、枯れ枝や流木を使います。
時間が許せば炭を残さずすべて灰にします。
「かっこよさや楽しさだけでなく、自分が自然に対してどう関与するのかを一番感じられるのが焚き火ではないでしょうか」
もちろんキャンプ場でも河原や浜辺でも、焚き火の可否は確認が必要です。
その場に落ちているものを火口や燃料として使う
現場に着いたら、まずすべきことは火口や燃料になるものを集める作業です。
これは昼間の明るい時間にしかできません。
「火種はできるだけその場で拾いたい。この林の木を灰にして、この場に還したいんです」
ここはクヌギの林ですが、そばにはスギなども生えています。
地面に枯れ落ちている細い枝、少し太めの枝を意識的に見分けて探します。
焚き火用は曲げればポキっと折れる、よく乾燥した枝を選びたいところ。
「一本一本チョイスして拾う。自分が関わって手に入れたものを燃やすということです」
本誌では、焚き火の極意の続きをお読みいただけます。
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