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「ひとは到着するために旅をするのではなく、旅するために旅するのだ」
文豪ゲーテが残したその言葉にもあるように歴史に名を残してきた男たちは、旅を深く愛しました。
新たな人々と出会い、見たこともない景色に直面することでかつてない発想を得て、
豊かな人生を過ごしてきたのです。
そして現代人も多忙を極める人ほど、その合間を縫って、国内外を縦横無尽に旅しています。
ゆえに、その旅の体験をさらに豊かにするためのステイ先選びにも余念がありません。
知る人ぞ知る格別なホテル、その土地の利を活かした旅館、アートとオーベルジュが一体化した宿……。
今号のGOETHEでは、多くの旅をしてきた方達の審美眼で見抜かれたステイ先を特集しています。
今回はその中から『星のや沖縄』を紹介します。
知る人ぞ知る一戸建ての琉球建築でお忍びステイ

沖縄、読谷村。
波風による侵食によって独特の形になった岩の間に、真っ赤な夕陽が沈み始めます。
息を呑む美しさですが、陽が完全に落ち切る前に、秘密の部屋へ急がなければいけません。
そこは黄昏時から、徐々に濃い青に染まっていく空を眺めるのに、これ以上ない静寂が漂う絶好の場所なのです。
2020年に開業した沖縄を代表するラグジュアリーリゾート『星のや沖縄』には、
これまであまりメディアに露出してこなかった知る人ぞ知る部屋があります。
その部屋は、全長1kmにわたる壁『グスクウォール』と海に挟まれたこの宿の、
もっとも奥に位置し、その部屋のためだけに設えた門をくぐると見えてくる一戸建ての琉球建築。
100室すべてがスイートルームの星のや沖縄で、4室だけ存在する特別室『ティーダ』がその場所です。
大きな扉を開けると、5m近い天井高の土間ダイニング、
そして部屋の中心部に配置された20mの屋外プライベートプールが目に飛び込んできます。
プールサイドに出れば赤い瓦の屋根、その向こうには雄大な空と海があるのみ。
夕陽で赤く染まった空が目の前に迫ってきます。
やがて陽が落ちて、やってくるとトワイライトの時間、プールサイドに明かりを灯した頃に、
ティーダの宿泊者だけに振る舞われる3種の泡盛を嗜めるのはこの部屋の特権です。
冷蔵庫にはメインダイニングのシェフが下ごしらえをした料理の数々がきっしり詰まっています。
事前に注文しておけば、こうして冷蔵庫に入れられて、あとは部屋の調理家電で温め、
好きな時に料理を仕上げることができます。
この『ギャザリングサービス』と呼ばれるインルームダイニングでは、
日本食、洋食、中華と30品目以上のメニューがあり、もちろん沖縄料理も多種多様に揃えています。
徹底的にこの秘密の部屋から出ないと決めたお忍び旅にもふさわしいです。

鳥の声で目覚めた朝。
この部屋のプライベートガーデン奥に見つけた小径を歩いてみれば、ビーチにたどりつきます。
すれ違うのはヤドカリばかり。
この部屋の宿泊者だけが通れる、さながら秘密の道です。
琉球の風を浴びて、もう少し歩きたいのなら、宿を囲むグスクウォール沿いを散歩してみるのもおすすめ。
そもそも『グスグ』とは、沖縄の言葉で、聖域、集落、城といった『大切な場所』を表しています。
その場所を雨風から守るのが白いグスクウォールの役割です。
この壁の内側、12万5000平方メートルに及ぶ敷地には、客室となる低層建築と、4つの施設が点在。
客室間には、長命草やグアバにアセロラなどが植えられた畑、
窓際にはカーテン代わりに生い茂る色とりどりのハイビスカスなど、さまざまな植物も大切に守られています。
本誌では、星のや沖縄で過ごす癒やしのスパや、メインダイニングなどの紹介もお読みいただけます。
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