脳科学で実証する脱まじめ「まじめな日本人はなぜわがままが言えないのか」

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まじめな性格の人ほど、融通が利かず、柔軟に振る舞えなくてイライラ…

 

「なんでまじめな私が損しているの?」

そう感じてしまうこともありますよね。

 

PRESIDENTでは『脱まじめ』で幸せになる脳科学を特集しています。

解説は精神科医の樺沢紫苑先生です。

 

まじめな日本人はなぜわがままが言えないのか

 

日本人はなぜ、自分の意見を言わずに他人の意見に合わせたり、顔色をうかがったりしてしまうのでしょうか。

一言で言えば、「それが正しい」と経験的に感じているからです。

社会人であれば会社の価値観を優先する、
主婦であればママ友などのコミュニティの価値観に合わせることが正しいと思い、そうしているのです。

 

一方でそれが大きな負担になっていることも事実です。

本音では「自分の意見を言いたい」「自分はこうしたい」と思っている人が多いのです。

にもかかわらず、その気持ちを抑圧しているために、ストレスが生じています。

 

日本人が「個人より集団を優先する」のは、子どものころから自己主張をして褒められた記憶があまりないのです。

自分の感じたことを言って親に否定された経験や友達に無視された経験がネガティブな印象として記憶に残っています。

 

これは脳の仕組みも関係しています。

なかには高圧的な父親や毒母に育てられたことから、自分の感情を表に出せなくなってしまった人もいます。

しかし、多くの人は否定されたことがあれば、肯定されたこともあったはずです。

ただ、それが正しく認識されていません。

 

たとえば、5回肯定されて5回否定された場合、人間の脳は7~8回は否定され、
肯定されたのは2~3回だけだったと感じてしまいます。

これを心理学的に認知バイアスといいます。

悪い出来事のほうが記憶に残りやすいのです。

 

また、日本には自分の意見を言わせる教育が浸透していません。

集団の価値観に合わせられる人が優秀であり、評価されます。

そのため、日本では人と外れたことをすると、いじめに遭ったりします。

コロナ禍では『マスク警察』という言葉まで登場しました。

みんなと違うことをすると奇異な目で見られたり、批判されたりします。

子どものころの経験と、日本の社会のルールが「個人より集団を優先する」価値観をつくっているのです。

 

会社も同じです。

会議で意見を言う人は少数派です。

自分の意見を言って波風を立てるより、
ほかの人の意見に「そうですね」と迎合しているほうが
問題は起きにくい、とみんなが思っています。

その中で「それは違うと思います」と主張すれば、立場が危うくなります。

合わせたほうが社会的にも評価されるし、精神的にも楽。

自分の本音を言わないほうがいいというのが日本のコンセンサスです。

 

だからこそ、日本人はわがままな人を許せないのですが、
その裏返しとしてわがままな人に対し、
憧れに似た感情があるのも事実です。

多くの人が他人に迎合する中で、「自分の意見をズバッと言える人」「自己表現ができる人」に魅力を感じます。

他の人に何と言われても自分の意見を曲げない人に意思や信念の強さを感じ、
「自分でもできたらいいな」と思うのは当然です。

 

それでもわがままになれないのは、「心理的防衛機制」と呼ばれる心の働きがあるからです。

古代ギリシャの寓話集『イソップ物語』「酸っぱいブドウ」という物語があります。

主人公のキツネは、木にブドウが実っているのを見つけますが、高いところにあってジャンプしても届きません。

するとキツネは「このブドウは酸っぱくておいしくないはずだ」と言って立ち去ります。

本当はそれが欲しいのですが、
手に入らないから「そんなものは必要ない」と言い訳して恰好をつける心理です。

 

心理学ではこれを『酸っぱいブドウ理論』といいます。

「心理的防衛機制」は、心がキズつくことを避けるための機能で、不安やストレスを軽減するための心理メカニズムです。

 

「心理的防衛機制」から抜け出さなければ、わがままにはなれません。

一つの方法は、“まじめ”をやめてみることです。

私からみれば、日本人はまじめすぎます。

まじめな人ほど、わがままな人を許せません。

本当はうらやましいと思っているにもかかわらず「あいつは不まじめだ」とか「あんなふうにはなりたくない」と見下してしまいます。

自分は我慢しているのに「ずるい」と感じているのです。

 


 

本誌では、この心理から解放される方法を紹介しています。

 

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