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ヤエスメディアムック『一生食べ続けられる中華そば』では、
大衆料理案内人の小野員裕さんによる美味しい中華そばを紹介しています。
一生食べ続けられる中華そばの魅力とは?
文:小野員裕
ある日、本書のタイトルにもなった「一生食べ続けられる中華そば」っていうフレーズが頭をよぎった。
それってどんな中華そば、ラーメンなんだろうか。
ラーメン評論家の故・武内伸さんが
「美味しいラーメン屋はすべからく『鶏ガラ豚ガラ人柄』ですね。アハハハ」って、
飲み会の席で楽しくしゃべっていた台詞を思い出す。
じつに言い得て妙だった。
その真意は決して味だけじゃないということ。
そりゃ旨いに越したことはないけど、まずは大将、女将さんの人柄が味わいを大きく左右する。
それでしっかりと鶏ガラや豚ガラなどでダシを引いていてくれたら、なお素晴らしい。
ラーメン専門店には、背脂チャッチャ系、濃厚魚介系、Wスープ系、端麗系とさまざまなカテゴリーがありますが、
この手のものは「一生食べ続けられる中華そば」なのだろうか。
「なんだか今日はラーメンを食いたい気分だな」って思ったとき、
町中に点在する中華屋や食堂、蕎麦屋の何の変哲もない中華そばが頭をよぎるのだ。
大勝軒【浅草橋】

人形町系大勝軒の古き良きラーメン
大勝軒と名のつくラーメン屋や中華屋は、有名なところでは丸長系の大勝軒と永福町系の大勝軒とあるが、
名前は一緒でも両者はまるで別物。
一方、日本橋人形町系と呼ばれる大勝軒は一番歴史が古く都内に数店舗あるが、
こちらも前述の大勝軒とはなんの関わりもない。
よく通っていたのは、人形町の流れをくむ三越前の大勝軒だったが、
界隈の再開発と老朽化に伴い、2019年4月26日に閉店してしまった。
美味しかったんだよね。
ここで紹介する浅草橋の大勝軒は人形町系の系譜。
どっしりとした外観、地元に長年愛され続けた風情がある。
店内は4人テーブルが3卓と広めだ。
「ワンタンメン(800円)」は、ストレートの細麺がツルンとしなやかな喉ごし。
醤油はキリっとした味わいで軽やかな旨味だ。
チャーシューはホロホロ崩れる柔らかさでいい具合に下味が入っている。
ワンタンは町中華伝統のわずかな肉餡が包み込まれたタイプ。
ツルンとした食感でこれもいい。
これ、何杯でも食べられるな。
「ギョーザ(450円)」は、餡の肉と野菜のバランスがよく、下味が入っていないので
タレにつけて食べるのがベターだ。
「シューマイ(550円)」はシットリと柔らかで、タマネギがちょい多めでんくはわずか。
これも文句なしの美味しさだ。
同じ焼売でも浅草「来集軒」や荻窪「丸長」の肉ビッシリでつなぎが多めのタイプは基本的に苦手なんだけど、これは違う。
タマネギの自然な甘みとややシャキっとした歯ごたえ、つなぎが少なめなので味わいが鮮明なのだ。
また辛子醤油もピッタリだね。
変わり種は「肉玉そば(700円)」。
ほかで見ないスタイルで、ラーメンの上に玉子でとじた肉に白濁した餡かけの絵姿。
シャープな醤油の味わい、ほどよい旨味が後追いしてくる。
肉玉は適度な歯ざわりで餡と醤油スープに絡んで、これもジワリと美味しいのだ。
本誌では、他にも「一生食べ続けられる中華そば」がたくさん紹介されています。
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