この記事が掲載されている雑誌は、こちらからお読みいただけます。
「カレーはスパイスの時代からハーブの時代へ」
そんな大言壮語をRiCEが表紙に謳ったのは昨年7月号のこと。
ですが、“カレーの人”水野仁輔さんは止まりません。
未知なるカレーの味を切り拓く『石臼』を抱きしめながら静かなる確信と共に彼はこう呟きます…
「クラッシュカレーの時代がやってくる!」
僕は今クロックに夢中です
「クラッシュカレーは、ハーブカレーを僕が言い始めた時よりも遥かに周りの反応がいい。ハーブカレーのときは『はー(苦笑)』みたいな感じだったんですよ。クラッシュカレーはもうすこし食いつきがいい」
そう話しながらもまるで愛でるかのように石臼から手を放さない水野仁輔さん。
昨年発売した著書『やさしい!さわやか!新感覚 ハーブカレー』が話題を呼び、
本誌昨年7月号『タイカレーの真実』でも、かつて自ら提唱したスパイスカレーにとって変わる新機軸として
『ハーブカレー』を十分に推しまくっていたはずなのですが…。
「そうなんです。タイカレー=ハーブカレーからの流れがあってのクラッシュカレー。方向性は同じなんですよ。ハーブカレーはもともと一昨年くらいから自分の中で盛り上がり始めて。ハーブのフレッシュな感じがいいよね?と思って始めたんだけど。
タイに何度か行って地方も含めて掘っていくうちに、一番肝になるのは石臼なんじゃないかって気がついた。スパイスを使うかハーブを使うかってことよりも、石臼で香りの出そうなものを叩き潰すことによって、おいしさが出ている可能性が高い。それでハーブから石臼のほうに興味が移ったっていうことですね」
タイでは『クロック・ヒン』と呼ばれる石臼。
考えてみれば世界最古の料理道具のひとつと言えるでしょう。
まだ人類が鋭利な刃物を発明する遥か前より既存の石や石板を使って様々な材料を叩いて潰すことで
食材へと昇華させてきたはずです。
ですがかつて世界中の台所にあった石臼がいまも生活に根付いているのは同じアジアでもタイくらいだとか。
「ミキサーを使うと速いですから。でも高速回転の刃で切るのと叩き潰すのとを比べたら、明らかに後者のほうが香りが立ちますよね。ハーブが大事なんじゃなくて、石臼ってものがキモだから」
いわば石臼をOSとしながらさまざまな美味しいカレーを発掘させる方法論へと
モードチェンジしたとおぼしき水野さん。
今回のお題である『辛いカレー』にもクラッシュカレーの方法論で臨んでくれました。
「チリのヒリヒリするような鮮烈さ、ペッパーの香り+ピリッとするくらいの辛さと、生姜はさわやかな刺激的な辛味。同じ辛さでも香りが全部違うんですよね。ペッパーだけは熱に向かないので最後に入れる。
今回は意外と穏やかな顔して、激辛。一見オシャレな感じのカフェで出そうなカレーみたいなんだけど、ギャップがすごい。辛いのがもともと苦手な人は無理かもしれないけど、その一線を越えられる人にだけ味わえる美味しさがあって、それを目指しました」
そんな激辛クラッシュカレーの作り方は本誌にてご覧いただけます!
この記事が掲載されている雑誌は、こちらからお読みいただけます。