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今年も全国各地で記録的な猛暑が続きました。
積もり積もった夏の疲れを癒やしに、人里離れた山あいに湧く温泉へ出かけませんか。
これから野山は一年で最も美しいシーズンを迎えます。
毎年同じ場所で変わらず色付く紅葉と、大自然と一体になれる温泉で、健やかな心と体を取り戻す旅へ出かけてみませんか?
旅行読売では、『心ほどける、紅葉の秘湯』を特集しています。
今回はその中から福島にある『二岐温泉・大丸あすなろ荘』をピックアップします。
足元から湧く湯の恵みを実感

二岐温泉・大丸あすなろ荘/福岡
新白河駅からレンタカーで1時間弱。
目当ての二岐温泉 大丸あすなろ荘は、二岐山のふもとの天栄村、標高800メートルの渓谷沿いに立ちます。
二岐温泉はつげ義春の漫画『二岐渓谷』の舞台にもなった秘境の温泉として知られます。
中でも大丸あすなろ荘は、現在の主人で50代目になる老舗。
足元から自噴する名物の岩風呂は、平安中期の政権争いに敗れた落人によって発見されたという伝説もあります。
はるか昔からこんこんと湧き出る湯につかり、人里離れた温泉でのんびりしたくなる温泉。
宿の駐車場から緩い坂を上ると、木々に覆われた山門が見えます。
のれんをくぐり、玄関までの小径には、裏山から植え替えた30種余りのモミジが並び、
山奥の宿とは思えない風情にあふれています。
玄関とフロント、ロビーが最上階の3階、客室が2階、内湯が1階にある造り。
1階から建物の外に出てさらに石段を下りた中庭に自噴泉岩風呂、女性と男性の露天風呂が点在しています。
まずは自噴泉岩風呂のある小屋をのぞいてみる。
ここは時間制で男女を入れ替えて利用できます。
石垣に囲まれた岩の湯船の底はでこぼこして、数箇所に大きな丸い穴があいています。
聞けば、昔は川が蛇行して流れており、川床だった場所を天然の湯船として利用しているとのこと。
丸い穴は、小石が水の中を転がってできた甌穴だといいます。
湯船に体を沈めると、岩盤の割れ目からしみ出る温かな湯が心地いい。
これが温泉の恵かと、湯の表面に浮かぶ小さな気泡をしみじみ眺めます。
pH値が高い女性用の子宝露天風呂は、さらに森に分け入った渓流沿いにあります。
直径3メートルくらいの小さな湯船ですが、その先には広大な自然の森が広がります。
渓流の音が耳にやさしく、大自然のど真ん中にいるような爽快感に包まれます。
風呂を取り囲むように茂る木々が風に揺れ、木漏れ日がキラキラ光っています。
自然に癒やされるというのはこういうことだろうか……。
心も体もゆるゆると解放されていくようです。
広々とした客室の窓を開けると、聞こえるのは渓流の音と鳥のさえずりだけ。
食事どころでいただく夕食には、メインの麓山高原豚をはじめ山菜や川魚など、
地の食材を中心に、10品以上もの料理が並びます。
山の味をたっぷりと堪能できます。
本誌では、二岐温泉 大丸あすなろ荘をより深掘りした記事の続きや、
他にも紅葉の美しい秘湯が紹介されています。
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