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突如として起こった『令和のブラックマンデー』で深手を負った個人投資家は多い。
そこでSPA!では、マネーのプロ5名が、彼らのポートフォリオを総点検し、復活の道を探ります!
今回は、NISA 損害額80万円となってしまった、投資歴10年の加瀬さんについてピックアップ。
成長投資枠の一点突破
独特な手法の落とし穴
「新NISAは成長投資枠のみで、限度いっぱいの240万円まで投資していました」
そう独自の戦略を語るのは加瀬剛さん(仮名・40歳)。
85.1%の人が利用しているといわれるつみたて投資枠は、「一喜一憂できない」という理由から手を出していません。
投資に楽しさを求める彼ですが、8月に日経平均が大暴落した“令和のブラックマンデー”では、
80万円の損切りを余儀なくされました。
「一番下げた8月5日、自ら設定した損切りラインに迫り、『このまま下落なら、来年、買い直しだな』と売却しました。NISA以外にもいろいろ投資していて総額400万円ほど含み益があり、それがなくなるまでは持ち続けるつもりでしたが、下げの勢いに自分のルールを実践しました」
新NISAは非課税ですが、長期保有が前提のため、売却すると非課税枠が「復活」するのは翌年。
メリットを享受できないのです。
NISAの保有銘柄は定番のオルカンやS&P500の他、新興国銘柄も目立ちます。
「国内個別株同様、値動きが激しいので単純に楽しい」
ハイリターン期待の新興国銘柄は高コスト
加瀬さんの投資スタイルを、NISAに詳しいFPの高山一恵氏に点検してもらいます。
「新興国のファンドは高リターンが期待できますが、実は信託報酬が高いので、リスクを取ってもコストが嵩む分、リターンが少ないことに注意。
一方、人気のオルカンやS&P500は運用コストは安いのですが、投資先が株式のみなのでリスクが膨む。
また、保有銘柄も20本以上と多すぎで、管理が行き届かなくなる恐れがあります」
ポートフォリオはどうでしょうか。
高山氏が続けます。
「気になるのは、現金の割合が20%と小さいこと。独身の加瀬さんは今後もキャッシュポジションを増やすつもりもないとのことですが、半年分の生活費や教育費など5年以内に必要になるお金は最低限、現金で持っておくべきです。このままでは投資の比率がどんどん大きくなり、ダメージを受けやすくなってしまいますから」
新NISAの投資はつみたて枠を使い、地味でも長期投資の恩恵を狙うのが王道です。
NISAのプロ・高山一恵氏からのダメ出し
- 生活費半年分は現預金で保有
- 信託報酬などのコストに留意
- 保有銘柄は10本以内に
本誌では他にも投資についてのプロたちがさまざまな個人投資家にアドバイスをしています。
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