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高層階からの絶景、充実した設備、快適なコンシェルジュのサービス。
憧れのタワーマンション暮らしを手に入れた一家が、
泣く泣くマンションを手放さなければならなかった悲しき理由とは。
PRESIDENTでは、不動産評論家の牧野知弘氏が『2億円タワマンを購入した共働き夫婦の末路』について解説しています。
「年収の7倍は無理」と思ったのだが…
今年、Aさん夫妻から自宅であるタワーマンションの売却相談を受けました。
夫婦ともに現在39歳で世帯年収は3000万円。
いわゆるパワーカップルですが、
「住宅ローンの返済が苦しいから、自宅を売却したい」と言います。
これだけの高所得を得ながら、なぜそんな状況に陥ってしまったのでしょうか。
この夫妻はおよそ3年前、都内の湾岸のタワーマンションを2億円で購入したそうです。
当時、夫は国内のコンサル会社から外資系コンサル会社に転職して2年目で、
転職により年収は一気に2000万円近くまで増加したそうです。
一方、妻は国内の一部上場企業勤めで、年収は1000万円弱。
Aさん夫妻は以前からマイホームの購入を考えていて、夫の転職で世帯年収が約3000万円となり、
「憧れのタワーマンションに住むのも夢ではない」と思い始めたのです。
Aさん夫妻には2人の子どもがいます。
当時は、ちょうど上の子が小学校に入学するタイミング。
入学してから転校するのはかわいそうだと考えて、急いで物件を探すことにしたようです。
はじめの予算は1億5000万円。
「マイホームを買うなら年収の5倍までの価格が安全圏」という話を聞いたことがあったからです。
しかし、都心、とくに人気の湾岸エリアでは物件価格の上昇が激しく、
ちょうどいい物件はなかなか見つかりませんでした。
リッチのいい物件は少し手狭だったり、広さに満足できる物件は希望のエリアから離れていたり、
どれも一長一短で希望を満たす物件に出合うことはできませんでした。
そんなとき、不動産会社から紹介されたのが予算をはるかにオーバーする物件だったのです。
営業担当者から「2億円なら、いい物件があるんですけどね……」と言われたそうです。
そのときは「絶対に無理だ」と思ったものの、「参考までに内見してみませんか」と誘われ、
情報収集のつもりで現地に出かけてみました。
25階で海に面した部屋は、文句なしに気持ちがよかった。
広さも周辺環境も、Aさん夫妻の希望に合っていました。
夫婦ともに物件に一目ぼれの状況だったそうです。
とはいえ、2億円近い住宅ローンを借りるのはさすがに無理かもしれないと不安がよぎったことでしょう。
「年収の7倍の金額では、さすがに無理」と思ったそうですが、
近年は「年収の5倍」で買えるマンションのほうが少ないのも事実です。
そもそも「年収の5倍が安全圏」といわれる説に根拠はありません。
今から30年以上前の1992年に政府が「生活大国5か年計画」を発表し、
そのなかで「勤労者世帯の平均年収の5倍程度で家が買えることを目指す」との方針が打ち出されました。
その数字がひとり歩きして、年収の5倍を超えると「高すぎる」と評価されるようになったわけです。
しかし、今はローン金利も低く、所得税控除が施されていることも相まって、
マイホームを取得した人の年収倍率は一貫して上昇傾向にあります。
住宅金融支援機構の『フラット35利用者調査』(2023年度)によると、
マンション購入者の年収倍率は7.2倍に達しています。
しかし、それが安全かどうかは別の問題です。
それでもAさん夫妻は、
「今、仕事が軌道に乗っているし、これからもっと仕事を頑張ればいいじゃないか!」と高を括り、
「住宅ローン返済も問題ないだろう」と判断したそうです。
それがなぜ、3年後に手放す状況に陥ってしまったのでしょうか…。
本誌では、記事の続きや、夫婦でマンションを購入する際に注意すべき5大リスクも紹介しています。
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