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どんなに料理が好きな人でも、日々の炊事をこなしているとふとしんどくなる瞬間があるもの。
dancyuでは、そんな気持ちと上手に付き合う7つのヒントをフードライターの白央篤司さんが教えています。
自分の中に「今日はしんどい」が湧き上がった日は無理をしない
文:白央篤司
ずっと趣味の料理を楽しんできた。
つまりは時間のあるとき、気が向いたときの楽しみとしての料理である。
だからまるで苦にならない。
私は料理が得意だと思っていたし、自信もあった。
しかしツレとの共同生活が始まり、炊事担当になって「ただ料理すること」と「毎日のご飯づくり」はまったく違うものと思い知る。
料理はワンアクションだが、日々の炊事は献立決めからの買い出し、調理、食材管理、片付けまでをも含む複合的作業だ。
明日も明後日もその翌日も続く、永遠の任務。
私は当初、おいしくて栄養バランスもよく、彩りも豊かに毎日違うメニューを出すなんてことを自分に課してしまい、すぐに白旗をあげることに。
いやはや、目標を高く掲げすぎた。
好きだからって毎日できるわけじゃない。
人間、気分には必ず波がある。
その波にうまいこと身をゆだね、つらいときにはラクを優先すればいい。
こんな当たり前のことが、行き詰まっているときにはわからないもの。
大切な相手に料理をすることを面倒に思う自分に罪悪感も覚えたが、ここは開き直らないと始まらないし、続けられない。
そもそも日本人。
ラクすることをなぜか手抜きとマイナスに考えてしまいがちじゃないだろうか。
その抜いた“手”は疲れた自分の心をもみほぐすために必要なもの。
どんな料理好きでも「今日はしんどい」ときが必ずある。
無理なときはつくらない。
無理を重ねると、台所がつらい場所になってしまうから。
だんだんと、家の料理は自分がつくりやすいものだけに絞っていった。
マンネリは恐れない。
マンネリじゃない、これが私の定番なのだ。
自分の定番料理は何を準備しておくとつくりやすく、何をストックしておけば手早くつくれるのか、なんてことも次第にわかってくる。
私は和物が好きなのだけれど、そのおいしさを格上げしてくれる便利な調味料や食材との出会いも大きかった。
やっぱり食い意地は張っているほうなので、一番よくつくるものの肝になる部分は上質なものを選ぶ。
そうすると、ラク優先の日も満足度は高い。
つくり置きや時短料理もあれこれ試して、自分と相性のいいものは取り入れ、そうでないものはすぐ手放す。
自分の好みに合った「頼れるもの、頼れる方法」が増えていくうち、台所は居心地の良い場所となっていったのだった。
作り置きはしなくなりました
つくり置きの安心感もいいけれど、次第に私はしなくなりました。
スーパーで活きのいい食材と出会ってしまったとき「でもまだおかずが冷蔵庫にある……!」と思うのがつらくて(笑)。
自分なりの「便利をとる部分と料理欲を優先するバランス」ができてから、日々の料理がスムーズになりました。
食べ慣れた好物を冷凍します
やる気が起きず手軽な一食にしたいとき、よく頼るのはそばやうどん。
でもおいしさは下げたくない。
定番の具のさつま揚げと油揚げは大好きなものを冷凍常備。
きのこは数種で調理すると香りも複雑&旨みもアップするので、時間のあるとき3種ぐらいをミックスして冷凍庫へ。
これらが私の安心のタネ。
本誌では、白央さんの台所のやる気が湧き起こるヒントが紹介されています。
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