
この記事が掲載されている雑誌は、こちらからお読みいただけます。
ロシアのウクライナ侵攻により、世界的に「食料危機」が懸念されるようになりました。
それに呼応するように、日本政府や農林水産省、JA農協などは食料危機をあおり、多くの国民は戸惑っています。
確かに、担い手の減少や農産物の価格高騰、肥料・飼料の不足など、しかし、新しい技術や発想で未来を切り拓こうという動きもあります。
今号のwedgeでは、日本の農業を強化し、真の「食料安全保障」を実現する方法を提示しています。
稲作に起こるブレークスルー
コメ輸出拡大に挑む人々
<文・鈴木賢太郎>
コメの輸出が急速に拡大している。
農林水産省によると、2024年のコメの輸出額は前年比28%増の120億円、輸出量は21%増の4.5万トンといずれも過去最高を更新した。
背景には、海外における日本食人気の高まりに加えて、21年の米カリフォルニアの干ばつの影響で、日本産米に切り換える飲食店が増えたこと、為替の影響で輸出に有利な環境であることがあげられる。
だが、足元では、悩ましい課題がある。
全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会(全米輪)専務理事の細田浩之氏は「昨年に起きた『令和のコメ騒動』の影響で、市場にコメが不足し、国内のコメの価格が高騰している。今後の価格動向次第では、25年のコメ輸出は減少する可能性がある」と話す。
根幹にあるのが、輸出を奨励する補助金の存在だ。政府はコメの輸出を加速させるため、新規市場開拓米として10アールあたり4万円の補助金を出し、作付けの転換を促してきた。
コメは作付け段階から使途を限定することが義務付けられている。
国内のコメの価格が高騰している現状を踏まえれば、輸出用米の生産を控え、主食用米の生産を重視しようと考える生産者が増加することは想像に難くない。
輸出相手国側の事情もある。
そもそも国内のコメの生産量は約7000万トンであり、輸出に振り向けられているのは1%に満たない。
世界のコメ消費量の約8割はインディカ米をはじめとした長粒種で、短粒種のジャポニカ米はマイナーだ。
需要が低ければ、大幅な輸出拡大は望めない。
農業政策に詳しい三菱総合研究所研究理事の稲垣公雄氏は「コメは国際相場で1トン約10万~15万円だが、日本産米は今回の高騰前でも20万円以上、現状は40万円であり、穀物として売り出していくうえでは価格競争力はない」と指摘する。
本誌ではさらに、記事の続きがご覧いただけます。
この記事が掲載されている雑誌は、こちらからお読みいただけます。







