50歳を超えると存在がハラスメント…『マナーのいい人』がひそかにやっていること

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なぜスマートな人はスマートさを感じさせるのか。

PRESIDENTでは、これまで亀田製菓の名経営者や一流著名人と出会い、
その品格に直に触れてきたエッセイストの松浦弥太朗氏と作家の野地秩嘉氏が、
マナーの神髄について語っています。

 

50歳を超えると存在がハラスメントに

 

野地:『マナーのいい人』と聞いて、まず僕が思い浮かべるのは、高倉健さんと堀江貴文さんの二人です。キャラクターは両極端に見えますが、共通したものを持っています。

高倉さんといえば、現場で座らないことで有名です。本人は「せっかく高まった気を緩ませたくない」と話していましたが、理由はそれだけじゃありあません。座るとズボンにしわが寄って、フィルムがつながらなくなります。毎日、品川の美容室に行って散髪するのもそう。髪が少し伸びただけでもシーンのつながりがおかしくなるから、毎日髪の毛を切るのです。プロフェッショナルとしてのマナーが伝わるエピソードです。

僕がすごいなと思ったのは、むしろ仕事を離れたとき。普段はとくに所作がていねいなわけではなく言葉遣いもごく普通なんです。

堀江さんも同じです。いつも尖っている印象があるかもしれませんが、レストランの通路で「ホリエモンだ!」とほかの客に話しかけられても、いたって普通に「堀江です」と返していました。一緒にゴルフに行っても、気さくで誰にでも丁寧に話しています。堀江さん、キャディさんたちには大人気ですよ。

二人を見て思うのは、普通でいることの大切さ。特別に行儀良くする必要はない。有名人なのに普通に振る舞って相手を緊張させないことが、何よりのマナーなんじゃないかと。

 

松浦:二人とも、気遣いのセンスがいい人なのでしょう。仕事では緊張感が必要な場面があるはずです。そこで緩くしているとまわりも弛緩してしまうし、逆に緩くていい場面でまわりに緊張を強いると、単に威張ったりうるさいだけの人になってしまう。今自分がいる場がどういうところなのか。それに気づいて調節する能力を持っている。

 

野地:経営者も気遣いできる人を見ると、マナーがいいなと感じますね。ファーストリテイリングの柳井正さんは、怖い時は怖いですよ。インタビュー中に編集者が遅れてやってきたことがあります。すると柳井さんは「どういうつもりだ。誰に対しても二度とするな」とぴしゃり。社外の人にそうやって叱れる人はなかなかいないです。一方で、普段はとても機嫌がいいんです。

トヨタの豊田章男さんもそうです。ニュルブルクリンクというドイツのサーキットのトイレで偶然隣になったときは「あっ、野地さん、今日は何?」と笑いながら話しかけてくる。いつ会っても機嫌がいい。

二人とは違い、取材に行くと急に秘書を怒鳴って「ここで一番偉いのは俺だ」と暗にカマしてくる経営者もかつてはいました。いまは、おそらくもう絶滅しているとは思いますけど。

 

松浦:柳井さんや豊田さんは成功した経営者ですが、そうでもない人も50歳を過ぎればコミュニティーで年長者になります。年長者になれば、そこにいるだけでまわりを緊張させる存在になり、ある意味でハラスメントになってしまう。私も50歳を過ぎて、まわりに余計な気を遣わないことが大人のマナーだと意識するようになりました。

 


 

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