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今号の週刊東洋経済では、日産の9000人のリストラや、内田社長の求心力などについてスペシャルリポート。
本誌記事より、一部を抜粋します。
9000人リストラに社内激震
日産がなくなる日
文:泰 卓弥
内田社長の求心力は低下。
物言う株主にも狙われる。
「報酬5割カットでは甘すぎる。内田(誠)社長をはじめ経営陣全員が退任すべきだ」
11月7日、神奈川県横浜市にある日産自動車の本社に衝撃が走った。
夕刻に開示された2024年度上半期(4~9)決算で、次々に悪いニュースが出たためだ。
同社の上半期営業利益は前年同期比90.2%減の329億円。
通気営業利益の見通しも、7月に下方修正した5000億円から1500億円へと引き下げた。
業績下方修正は今期すでに2回目だ。
さらにグローバルでの生産能力の20%削減や9000人の人員削減といったリストラ策を発表した。
「99%の営業減益となった第1四半期もショックだったが、ここまでひどいとは」
「9000人のリストラも発表されて会社全体がピリピリしている」
日産社内では、こうした不安の声や冒頭のような厳しい意見が噴出している。
業績悪化で先が見えない状況は、仏ルノーによる救済に至った1990年代後半と重なる。
就任から5年を迎えようとしている内田社長の求心力は風前の灯火だ。
判断を見誤った新中計
日産の業績悪化の主要因は販売台数のおよそ6割を占める主力の2市場、北米と中国の不振にある。
北米では現在、ハイブリッド車(HV)の需要が急拡大し、トヨタ自動車やホンダは販売台数を伸ばしている。
一方、日産は同市場でHVを投入できていないうえ、過去の無理な販売戦略によるブランド価値毀損が尾を引いている。
北米で値引きの原資となる販売奨励金(インセンティブ)は現在、業界平均が約3000ドルなのに対し、
日産のそれは約4000ドル。
それだけ費やしてなお販売は低水準で、北米事業は赤字に転落した。
中国ではBYDなど現地メーカーが躍進し、海外メーカーは総じて苦戦する。
日産の販売台数は18年度の156万台から23年度には79万台と半減。
今期もマイナスが続く。
価格競争も激化しており、中国事業(持ち分法適用)は減益となっている。
日産の不振は部品メーカーをも直撃する。
日産向けサプライヤー幹部は、
「北米での生産台数下振れは大打撃だ。前年度も台数は下方修正を繰り返した。日産はなぜできもしない計画を掲げるのか」
と不満を語る。
カルロス・ゴーン元会長の時代に拡大戦略に邁進した日産。
北米では当時も「インセンティブ漬け」の販促が実施され、日産車=安売りのイメージが定着。
ゴーン氏失脚後に後始末に追われた。
20年に策定された4ヵ年の事業構造改革計画『Nissan NEXT』では無理な拡大戦略を反省し、
当時720万台あった生産能力の削減を進め、足元の生産能力は500万台となった。
が、販売台数も17年度の577万台から23年度には344万台へ減少。
能力過剰は解消できていない。
そうした中、日産は今年3月に『The Arc(アーク)』と名付けた新中期経営計画を発表。
3年後、100万台増販の計画をぶち上げた。
工場稼働率を引き上げるためだが、日産のブランド力やラインナップ、市場環境を考えれば、
一段の生産能力縮小が必要だった。
日産の元幹部は「アークで再拡大路線を掲げたことで構造改革が遅れた。内田さんは引くに引けなくなったのだろう」と解説する。
本誌では、この特集の記事の続きをお読みいただけます。
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