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素材・住宅・ヘルスケアという異分野の3事業を束ねる旭化成。
電気自動車(EV)向け電池部材の向上をカナダに新設するなど攻めの投資を続けています。
社長の工藤幸四郎氏は、独自の知財・人材戦略を展開し、ニッチな市場で競争優位を築いています。
日経ビジネス電子版では、旭化成社長の工藤幸四郎氏のインタビューを掲載しています。
旭化成の商品が注目されているのだと気づいた
化学業界では半導体関連など電子材料分野の動きが活発ですね。
「各社とも強化していますが、旭化成グループの中ではまだ小さい事業です。限られた市場で、かなりシャープにビジネスをやっています。
先日、(半導体受託生産の世界最大手)台湾積体電路製造(TSMC)のサプライヤー表彰を4年ぶりに受けました。我々の層間絶縁膜は非常にニッチな商品です。表彰式には半導体業界の有名人が大勢いらしていた中で、私に会ったTSMCの人は『あなたは誰?』という反応でした。ところが旭化成から来た工藤だと言ったら、みなさん『ああ、あの商品の!』という感じなんです。それほど注目されているのだと改めて気づきました」
なぜ層間絶縁膜の技術が注目されているのでしょうか。
「(半導体の回路を形成する)前肯定の進化にやや限界が見えてきて、(回路を形成したウエハーを電子部品に仕上げる)後工程をどう磨き上げていくかが勝負になっています。後工程で半導体チップを積層する技術のキーとなる素材が分かってきました。競合他社も製造していますが、ハイエンドの商品では我々に一日の長があります。
電子材料は2025年以降についてもかなり旺盛な引き合いを頂いていて、事業継続計画(BCP)の観点も考えなければいけません。引き続き投資していく必要があると思っています」
熟慮の末に決めたカナダ投資
電気自動車(EV)の電池に使うセパレーター(絶縁材)でも、24年にはカナダへの新工場建設を発表しました。
「セパレーターは相当早くから研究開発していたのですが、もうからないのでもうやめようという話になっていました。いつにしようかと考えていたところにパソコンが出てきて、さらにスマートフォンが登場して電池の需要が高まり、一挙に花開きました。
次に車載電池向けの需要が出てきたのですが、当社はスマホ向けをかなり製造していて生産能力が追いつきませんでした。そこへ中国勢や韓国勢が一斉に出てきて、車載の市場を取られてしまった。当社はニッチな製品が多いですが、需要が世界的に爆発した時の対処はなかなかできていませんでした」
本誌ではインタビューの続きをお読みいただけます。
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