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生活はもとに戻っても、コロナ禍で増えた体重が戻らない…。
食事制限や運動などできることはやっているのに、若いころと同じようには痩せなくて苦戦。
今、途方に暮れているという声が多く聞かれます。
婦人画報では「何をしても痩せられない」と感じているとき、突破口となる新知見を紹介しています。
腸内環境と“痩せにくさ”
キーワード『短鎖脂肪酸』
痩せにくさの正体とは何なのでしょうか?
まずはこの命題を京都大学でエネルギー代謝や腸内細菌の研究に携わる木村郁夫教授に聞いています。
「周知の通りで代謝機能が落ちているからです。やはり基礎代謝の低下こそ痩せにくさの原因です」
基礎代謝とは生きているだけで消費される熱量(カロリー)のこと。
年齢とともに基礎代謝が落ちることはよく知られています。
「若い頃と同じだけ食べていたら、確実に太ります。ところが基礎代謝が落ちていると、食べる量を少し減らしただけでは痩せられません。しかも食事制限をしすぎると不健康な痩せ方をしてしまうというジレンマもあるでしょう」
食事を変えて腸内環境が変わると
体も違う方向に切り替わる
そんなときにひとつのヒントとなるのが腸内細菌。
「我々は日々食べているもので体を保っているので、食事を変えて腸内環境が変われば、体が違う方向へと切り替わることはあると思います」
運動も食事制限もして、それでも痩せられないときに行き詰まっているのなら、
腸内環境を変えることで現状打破が叶うかもしれません。
「摂ってほしいのは食物繊維。しかし葉ものサラダでは意味がありません。食物繊維には難分解性多糖(不溶性食物繊維)と難消化性多糖(水溶性食物繊維)の2種類があり、レタスやキャベツは前者。摂ってほしいのは後者です。
人は食事で糖を摂りますが、難分解性多糖は人体に消化されず腸内細菌のエサとなります。腸内細菌は難分解性多糖を食べて、人が便を出すのと同様に短鎖脂肪酸という酸を出すのです。短鎖脂肪酸とは酪酸、プロピオン酸、酢酸などの総称。
難分解性多糖を食べて短鎖脂肪酸を出す腸内細菌のことを、いわゆる“善玉菌”と呼びます」
短鎖脂肪酸そのものが人に働きかけている
従来は、“短鎖脂肪酸は善玉菌の代謝物なので、
それが多いということは腸の環境がよい証拠”という程度の理解が一般的でした。
しかし近年では“短鎖脂肪酸そのもの”が人に働きかけていることが明らかに。
「宿主(人)と腸内細菌の共生関係です。腸内細菌が作った短鎖脂肪酸を宿主が利用していることが解明されました。人の体には短鎖脂肪酸で活性化する受容体が存在します。それがGPR41とGPR43です。
GPR41はエネルギー消費を高めて、GPR43は脂肪の蓄積を抑える信号を発する受容体。
それらが短鎖脂肪酸で活性化されると、“燃やそう”、“蓄積を防ごう”というスイッチが入るわけです。ですから、短鎖脂肪酸が多い人は痩せやすいといえるでしょう。
腸内細菌が人の健康に関与しているといわれても、そのメカニズムがわかってきたのは近年のこと。短鎖脂肪酸の受容体が注目され始めたのも約10年前からです。
なお今後注目されているのは中枢機能。短鎖脂肪酸と脳や認知症に関する研究が進められています」

本誌では、ホルモンと痩せにくさ・キーワード『腸管ホルモン』についても解説されています。
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