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今回のニューズウィークでは、初の試みとして厳選したアメリカの『創造的破壊者』50人を特集!
この50人は皆、人々の生活に絶大なる影響を及ぼそうと、テクノロジーを駆使して変化を生み出しています。
その中で、医療の変革者、アーディール・アクター氏についてピックアップします。
幼い日の出会いが生んだ安価なバイオニック義肢
アーディール・アクター(サイオニック創業者CEO)

アーディール・アクター氏が人生を変えた少女に出会ったのは7歳の時。
両親の生まれ故郷であるパキスタンの親族を尋ねた際、立ち寄った店で彼女を見かけました。
その少女は右足を失っていました。
「手足が不自由な人に会ったのはそれが初めてだった。彼女は私と同じくらいの年齢で、貧しかったので木の枝を松葉杖代わりにしていた」
少女の名前は知らないままで、話すことも、再び会うこともなかったそうですが、
アクター氏は決して彼女のことを忘れませんでした。
成人後、神経科学の博士号を取得し、34歳の今はサイオニック社(イリノイ州)の創業者兼CEOを務めています。
開発チームは約30人。
高機能で耐久性があり、ユーザーのニーズに合致した『バイオニック義肢』を、手頃な価格で販売できるよう製造しています。
アメリカではメディケア(高齢者医療保険制度)で同社の義手が対象になりました。
他の保険会社も追随するだろうと、アクター氏は言います。
何らかの理由で手足を失ったアメリカ人は、少なくとも160万人いるとみられています。
ですが、アクター氏によれば、過去にバイオニック義肢が必要になった人のうち、実際に購入できたのは10%のみ。
メディケアの対象になれば、この数字は最終的に75%まで伸びるはずだといいます。
「私たちは、これまでこの種の技術にアクセスできなかった全ての人々が、公平に入手できるようにする」
本物の手指に近い動き
サイオニックは昨年9月、同社初の商用製品『アビリティハンド』を全米で発売しました。
バッテリーや電子機器が内臓されていますが、サイズやデザインは本物の手に似ています。
アクター氏によると、指の動きも人間の指に近く、抵抗を受けると振動し、
卵や子どもの手をつかむと強く握るのをやめるよう促す信号を出すといいます。
手の付け根にある電極は、筋肉の緊張を感知して指を動かします。
アクター氏は試作品を使ってみた退役軍人や、事故または病気で手足を失った被験者から意見を聞きました。
「彼らは数十年変わらない技術に頼っていた。それを21世紀型にアップグレードしたかった」
既存の義手はフック型義手のような低機能のものか、最高7万ドルする高額製品のどちらかが多いです。
アクター氏によると、アビリティハンドは臨床医やセラピストへの提供価格で1~2万ドルになるといいます。
サイオニックはパーツの金型を3Dプリントで作り、製造コストを削減。
義手の大部分はカーボンファイバー製ですが、多くのパーツはシリコンやゴムなど安価で柔軟性のある素材でできています。
硬質プラスチックで作られた既存の義手には、簡単に壊れてしまうという難点がありました。
将来的には義足も作り、国外展開もしたいとアクター氏は考えています。
「退役軍人は地獄のような思いをしてきた人たち。彼らに何かお返しするのは、素晴らしくやりがいのある仕事だ」
本誌では他にも49名のアメリカの『創造的破壊者』が紹介されています!
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