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近頃のスマホでは、音声で指示すれば、AIがスマホ内のアプリを代わりに運用してくれる機能も登場。
今号の週刊エコノミストで掲載されている、ケータイジャーナリスト・ライターの石野純也氏によるAIエージェントのコラムをピックアップします。
AIスマホの開発競争が加速
文:石野純也
スマートフォンのAI機能といえば、これまではカメラの画質補正や、文字入力などに取り入れられてきた。
その姿が、『ChatGPT』をはじめとする生成AIの登場や、プロセッサーの性能向上により、大きく変わろうとしている。
従来よりも基本ソフト(OS)に密接に組み込まれるようになったスマホのことを、『AIスマホ』と称することもある。
2024年4月にサムスン電子が日本で発売した『Galaxy S24』シリーズでは、『AIフォン』というキーワードを前面に打ち出した。
グーグルも自社開発のピクセルシリーズを『AIスマホ』と称している。
また、アップルは24年9月に発売したiPhone 16シリーズをAI機能の『Apple Inteligence』とうたっており、プラットフォームを超えて、AIスマホの開発競争が加速している。
似顔絵を描く
では、これらのAIスマホでどのようなことができるのか。
AI機能の実装方法はメーカーによって異なるが、代表的な機能のひとつは、画像生成だろう。
例えば、サムスン電子のAI『Galaxy AI』では、写真を元にして、人物の似顔絵を描くことができる。
同様の機能は、iPhoneのApple Inteligenceにも、『イメージプレイグラウンド』として搭載されている。
写真だけでなく、利用者が手描きで描いた簡単な絵を元に、タッチを変えたイラストを生成することも可能だ。
撮った写真の映り込みを消す機能としておなじみなのが、グーグルのスマホ『ピクセル』に搭載された『消しゴムマジック』だ。
ここに生成AIを組み合わせて、何らかの物体を消した際に、背景を描き足すことで精度を上げた『編集マジック』も、ピクセルシリーズの多くで利用できる。
名称は異なるが、同様の機能は、他のメーカーでも搭載を進めている。
一例を挙げると、iPhoneでは、写真アプリに搭載された『クリーンアップ』と呼ばれる機能で、映り込みを消すことが可能だ。
さらに、サムスン電子のGalaxy AIを搭載した機能では、写真の角度を補正する際に、足りなくなった画像周囲を生成AIで描く機能を利用できる。
イラストや写真の生成以外では、文章のトーンの変更といった機能も、AIスマホでは一般的な機能だ。
「明日の打ち合わせを変更したい」と短い文章を打っておき、AI機能を使うと、より丁寧な言い回しにしたり、友達に送るような、くだけた文体にしたりすることができる。
また、Webサイト上に掲載されているニュースを要約し、短い文章にまとめる機能もAIスマホによくある機能だ。
音声を聞き取り、文字起こしが可能なボイスレコーダーを搭載したスマホも増えている。
代表的なのはグーグルのピクセルで、この機種は、録音したそばからすぐにテキスト化が行われる。
相手が話したことを文字で確認したり、録音した音声を頭出ししたいときの検索に活用できる。
また、リアルタイムではなく、後処理になるが、サムスン電子のGalaxyシリーズや、中国メーカーのシャオミ『シャオミ14Tプロ』などにも、前述と同様の機能が搭載されている。
さらに、これらのAIスマホの中には、書き起こしたメモを要約する機能を備えているものもある。
本誌ではさらに、翻訳機能についてのAIについても掲載されています。
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