《坂本龍一の愛用品》オリジナルアルバム『12』の制作中、生活をともにしてきた12の物語

  • 更新日
  • 有効期限 2023.04.30

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2021年3月から、坂本龍一さんは日記を書き留めるように音楽のスケッチを制作していました。

その中から選んだ12曲をまとめたのがオリジナルアルバム『12』

 

その間も、アメリカのSF映画『アフター・ヤン』Netflixのアニメ作品『exception』の音楽、
シャンパーニュメゾン『クリュッグ』のために書き下ろした組曲など
坂本さんの作品は世界中で発表されてきました。

 

しかし、坂本さんにとっては何より闘病生活に多くの時間を費やした2年間でもありました。

治療のための仮住まいの家で、生活環境が一変するなか、坂本さんはどのような日々を過ごしていたのでしょうか。

婦人画報では、『12』の制作中、坂本さんが生活をともにしてきた12点の愛用品を紹介しています。

 

こちらの記事は2023年2月に発売されたものです。

 

読書のための椅子

 

 

「座り心地がよくて、大好きな本をいくらでも読んでいたくなる」

 

身の回りには心地よいものだけを。

 

そんな思いから、仮住まい生活を始めるにあたり、
坂本さんは体に馴染む家具や生活用品を少しずつ買い揃えていました。

なかでもこだわったのがリーディングチェアです。

楽器の次に大切だという『古書』を読むための優しい相方です。

 

デンマークの家具デザイナー、オーレ・ヴァンシャーによるコロニアルチェア。

“これ”というものを探し求めた末に、北欧のヴィンテージ家具を扱う店で見つけました。

 

以前はもっぱら仕事で使うアーロンチェアで読書をしていました。

けれども、「いまの気分」には柔らかくゆったり座ることのできるこの椅子がしっくりくる。

昨年末に配信されたコンサート映像の収録現場に持ち込んだところ、
あまりに座り心地がよいと、撮影チーム内で奪い合いが起こったほど。

 

デザインや造形の美しさも含め、「大好きな古書はこの椅子で読むに限る」といいます。

 

陶片と風鈴

 

 

「風が吹いて音が鳴ると、ああ、いい音色だなと思う」

 

リビングの窓辺でくの字に広げられた木製の衣桁には、
姿も音色もさまざまな風鈴や陶片が20個あまり吊り下がっています。

 

発端は、坂本さんの2020年の活動をまとめたアートボックス『2020S』に同封した陶片にまで遡ります。

 

「割れた陶片はとてもいい音がするので、音楽用にいくつか取り分けておいたんです」

 

ニューヨークのスタッフに穴を開けて送ってもらった陶片は風に吹かれると、カランと乾いた音を立てます。

『12』の最後の曲で鳴っていたのもこの陶片の音色です。

ラックの片側には南部鉄器や金属製の風鈴が並んでいます。

 

『もっと軽い音』を求めて、ガラスの風鈴も増やしました。

風を受けると、なんとも心地の良い音が鳴り響きます。

 

チャーム付きのバッグ

 

 

「じつは昔から可愛いものに目がないんです」

 

文芸誌『新潮』の連載取材時のこと。

聞き手を務めた編集者の鈴木正文さんの肩に掛けられていた小ぶりのバッグ
坂本さんは胸をときめかせました。

 

「そのバッグ、すごく可愛い!」

 

聞けばラグジュアリーブランドの『ジミー チュウ』とアメリカのアーティストであるエリック・ヘイズ、
日本のファッションキュレイター、小木“Poggy”基史氏とのコラボ商品だといいます。

鈴木さんの紹介で奇跡的にプレスルームに残っていた1点を譲り受けました。

 

「チャームをたくさん付けると、もっと可愛くなりますよ」という鈴木さんの助言に従い、
お気に入りのチャームも付けました。

白アザラシ、金色の亀、革製のいちょうの葉……。

シックながらもにぎやかな顔触れです。

 

外出時は財布や鍵のほか、香りのサシェや診察券の入ったピンクのクリアケースなどを入れています。

 


 

本誌では、他にも古書、小さな楽器、仏像、ぬいぐるみ、ルームスプレーなども紹介されています。

 

坂本龍一さんのご冥福を心からお祈りいたします。

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