【村上隆&ルイ・ヴィトン】22年越しの革命、再び

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カオスと調和が共存するカラフルな作品で、世界に驚きを与え続ける現代アーティスト、村上隆

2003年に発売されたルイ・ヴィトンとのコラボレーションは、一大センセーションを巻き起こすだけでなく、私たちに新たなアートの楽しみ方をもたらしたものでした。

今号のVOGUE JAPANでは、22年の時を経てリエディションとして蘇った今、彼に改めてファッションとアートとの関係を聞きます。

 

真新しい現代アートを生み出す天才の出現

 

<Text by MITSUKO WATANABE>

 

「2002年10月7日、パリは快晴」。

私はルイ・ヴィトンとアーティストの村上隆による初コラボレーションを特集した『ヴォーグ ジャパン』の記事を、パリのホテルでこう書き出した。

その数日前、2003年春夏シーズンのルイ・ヴィトンのウィメンズファッションショー会場に到着したとき、いきなり目に飛び込んできたパンダやオニオンヘッド、フラワーハットマンといった村上隆によるキャラクターたちの気球が浮かぶ、雲ひとつない青空が忘れられなかったからだ。

そのキャラたちは、パリの老舗メゾンであるルイ・ヴィトンのイメージとはおよそかけ離れたカラフルかつポップな楽しさにあふれていて、ショーの前から私たちに、見たことのない新しい何かが始まる予感をワクワクする驚きとともに告げてくれた。

もちろん、パリのファッションウィーク開催前に村上隆とのコラボレーションの話はルイ・ヴィトン ジャパンのPR担当者から聞いていて、日本のアーティストとルイ・ヴィトン初の大型コラボを他誌に先行して取材する話になっていたのだが、この目で見るのは当日が初めて。

ショーが始まると、ヴィヴィッドカラーのミニドレスをまとったモデルたちの手には、白地や黒地をベースにカラフルに大変身したモノグラムのバッグたちが携えられ、アドバルーンで見たパンダたちがプリントされたミニトランクも登場

会場は楽しい高揚感にあふれ、21世紀の新モノグラムの誕生に盛大な拍手が送られた。

私はファッションウィークの最終日、世界の注目の渦中にいた当時のウィメンズのアーティスティック・ディレクター、マーク・ジェイコブスと村上隆の2人にインタビューすることができた。

マークから村上への最初のリクエストは「モノグラムをレボリューションしてほしい」ということだった。

「モノグラムの色を変えて、もっとフレッシュでフリーな感じにしたかった」というマークの願いは、村上の“スーパーフラット”なアートと出会い、見事に叶えられた。

そして、その「レボリューション」は、いくつかのステップを踏みながら老舗の伝統に新しい進化を刻むこととなった。


 

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