【立ち戻る仏教】若い世代の僧侶が輪を広げる坊主バーという寺院

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TRANSIT(トランジット)

【立ち戻る仏教】若い世代の僧侶が輪を広げる坊主バーという寺院

 
宗教離れが叫ばれる中、若い世代の宗教者によって一風変わったかたちで改革を図り、
信仰の輪を広げようと努める取り組みが生まれています。
その背景には仏教界の未来を案じる強い想いがありました。
 


坊主バーという寺院


 

 

・僧侶との距離をグッと縮めたい。

 
店名からしてインパクト抜群の『坊主バー』
その始まりは1992年まで遡ります。
もとは大阪の浄土真宗大谷派の住職が法話を聞きに来たバーテンダーと組み、
僧侶と対話ができる場として開店したのがきっかけです。
 
その後は全国に”のれん分け”が行われ、2000年に開設されたのが、今回取材している四谷の坊主バー。
 
開店直後から店を任されている藤岡善信さんは、ふだんは浄土真宗の寺院の副住職を務める僧侶です。
職務の傍らでバーテンダーをやろうと思った背景には、
「寺院が本来の機能を果たしていないのでは?」という疑問があったためだといいます。
 
「現代では、お寺は葬儀や法事の時にしかお世話にならない、仏教とは死んだあとのためのものと思われています。しかし本来の仏教の目的は生きている人のためのものではならなくて、葬儀や法事も残された方のためのものです。
だからこそ坊主バーというかたちで、誰でもふらりと立ち寄り、生きているうちに仏教の教えに触れる場所になってほしいと願っているのです」
 

・悩み相談の需要は多い

 
とはいえ、最初は手探りで苦労の連続だったといいます。
説法の時間を設けても誰も来ない日が多く、「坊さんがふざけたことをやるとは何事か」と批判の声もあったそうです。
しかし、現在では法話を目的に訪れる常連がいるほど、人気を得ています。
 
「僧侶に対面で悩みを相談したい人が、想像以上に多いことを知りました。人びとは宗教を求めているのに、僧侶がその需要に応えてこなかったのです」
 
そこで坊主バーではお客さんと一緒にお経を読んだり法話を聞いてもらったり、
参加型の企画や、ユニークな試みを次々に打ち出しています。
藤岡さんは僧侶や神主の仲間と一緒にバンドを結成しています。
バー同様に奇抜な試みにみえますが、実は布教の原点に立ち返ったものだといいます。
 
鎌倉時代の一遍を筆頭に、音楽や踊りで布教をしてきた僧侶は少なくありません。
アルコールの提供も、奇をてらったものではないと話します。
 
「約500年前、浄土真宗の信者を増やした蓮如という僧侶がいます。蓮如は寺院に人びとを招いてお酒を振る舞い、ざっくばらんな話ができる機会を作りました。いわば坊主バーの原点ですね」
 
藤岡さんの話を聞くと、坊主バーのイメージが一変します。
これは本来の寺院のあるべき姿なのかもしれません。
 


 
本誌では「現代こそ仏教が必要」、「海外からも来るお客さん」など
さらに深い坊主バーと仏教のお話が展開されています。
こちらからお読みいただけます。