《東京の美味しい町蕎麦》昼も夜も満たしてくれる温かいお店

  • 更新日
  • 有効期限 2023.02.12

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温かくても、冷たくても、美味しい蕎麦。

東京には町蕎麦のお店がたくさんあり、dancyuでは東京の味しい蕎麦店を紹介しています。

今回はその中から2つの蕎麦店を紹介します。

 

【中清/吉祥寺】親子三人、唯一無二の店

 

 

ほっと寛ぎたいとき、ささやかに自分にご褒美したいとき、気の合う友人と話したいとき、
つい足を向けるのが吉祥寺の『中清』です。

この店の魅力は、なんといっても蕎麦の旨さ

 

出前中心だった町蕎麦屋から、三代目の店主・清田治さんが独学で手打ちに変えたのは30年前。

その後、製粉機を導入して自家製分にし、さらに最近は手間と時間をかけて蕎麦を手挽きします。

しかも蕎麦が変わるごとにつゆも緻密に変化させ、とにかく旨い蕎麦への向上心が半端ありません。

いい蕎麦の実があると聞けばどこからでも仕入れ、それに合わせて挽き方を変え、
それでも「まだまだわからないことばかりだよー」と常に探究心を持ち続け、
それがまた楽しくて仕方ないようです。

 

蕎麦の話を始めたら止まらない、目をキラキラさせて話す77歳の治さんの姿は、まるで少年のようです。

 

そんな父の姿を見て育った四代目の泰允(やすみつ)さんが8年前から父に代わって蕎麦を打っています。

試行錯誤して築き上げた父の技術を忠実に学び、「後はお前の好きなようにやってみろ」と任された蕎麦は
日々進化し、父を超える旨さです。

 

二八の“さとそば”(田舎)に生粉打ちそば、透けるような更科に、手挽きの粗挽そばと、
粉の個性を見事に引き立てて打つ4種の蕎麦はどれもが実に旨いもの。

とはいえ「うちはあくまで町蕎麦屋だから」とメニューには豊富な種ものに
カツ丼や親子丼などの丼も健在。

来る客を選ばないのは、町蕎麦屋としての懐の深さです。

 

また、お酒の品揃えも驚くほど多彩。

希少な地酒を仕入れ、自家熟成するなど旨い酒の追求もやみません。

親子でアイデアを膨らませた多種多様の酒肴で、至福の蕎麦前となります。

 

旨い酒でゆるりと楽しみ、最後に手繰る絶品の蕎麦。

行けばきっとわかる、通うごとに『中清』の魅力にはまっていきます。

 

【長寿庵/青山】昼も夜も満たしてくれる

 

 

凍えるほどの嵐の日に暖簾をくぐると、「いらっしゃーい」と花番さんの優しい声。

『あおやま長寿庵』は陽だまりのようなお店です。

 

そもそも長寿庵という屋号の発祥は古く、江戸・元禄年間に遡ります。

暖簾分けで店は増え、多いときは関東一円に300店以上あったとか。

 

店主の渡邊龍太郎さんはこう話します。

「うちはかつて祖父が営んでいた『長寿庵 赤坂本店』の暖簾分けで、昭和26(1951)年に父が開きました。チェーン店ではないので長寿庵を名乗っていても、仕入れ先、味、店構えなどはさまざまなんです」

 

このお店の明るく広い客席やコの字のカウンターは先代の父が考えたもの。

毎週活け替える生花やピカピカに磨かれた床も同様で、亡き今も家族で守り継いでいます。

 

味もしかり。

北海道産の蕎麦粉で打つ蕎麦は細くしなやかで、機械打ちのイメージが変わるほど。

濃口のまろやかな汁が寄り添って、庶民的ながらどこかたおやかです。

丼物もバラエティーに富み、特に親子丼は早い時間に行かないと売り切れ必至。

鶏肉のプリプリと弾む歯ごたえが小気味よく、鶏の旨味がしみたご飯はかき込まずにいられません。

 

季節に合わせた日本酒と酒肴の数々を楽しむ夜に、ぜひ頼みたいのは鴨汁そばがきです。

土鍋で煮たそばがきは鴨の脂と旨味を纏い、酒のピッチが上がります。

 


 

本誌ではこちらの2店以外にも、東京のおすすめの蕎麦店が紹介されています。

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