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「誠実な白い暖簾に“大衆の店”。うん、これでマズイはずがない」
dancyuでは、ひとり飯漫画の元祖として知られ、
ドラマ化もされている『孤独のグルメ』(作画・谷口ジロー)原作者の久住昌之さんが
「ドラマの昨シーズンで個人的ナンバーワン」と語る店を富山に訪ねました。
知る人ぞ知る名店『舞子』
『舞子』はJR富山駅からタクシーで1000円弱の距離にあります。
主は根岸要さん。
富山湾をそのままひっくり返したような、ピカピカの海の幸を心意気の価格で供する、
知る人ぞ知る名店です。
取材時はホタルイカの旬で、刺身もありました。
「肝のおいしさを楽しんでいただきたいので、肝をゆがいて添えています」
こんなかんじで、すべての料理は素材そのもののおいしさを花咲かせて供されます。
この後は久住さんによる『舞子』のレポートを紹介します。
ボクが一番酔っ払った店
ドラマ『孤独のグルメ』のボクが出演するコーナー『ふらっとQusumi』は、
松重豊さんが出演する本編とは別の日に撮る。
だから撮影中は松重さんとは会わない。
だけど毎Season、最終回にはボクがドラマの中にちょい役で出演するので、松重さんと会う。
その時、必ず話すのが「今Season、個人的にどの店が一番でした?」というものだ。
同じ時もあるし、違う時もある。
だけど、今回は二人声を揃えて、「舞子!」だった。
テレ東深夜番組は予算がないので、地方ロケは毎シーズン1ヶ所か多くて2ヶ所(その2ヶ所は一回のロケ旅で続けて寝る)。
普段のボクのコーナーは、だいたい30分ぐらいで撮って解散。
なぜなら店の営業日に、営業前のわずかな時間を使って撮るからだ。
だけど、地方ロケは違う。
ボクも泊まりだ。
だから収録が終わってもゆっくりできる。
今回の富山ロケでは、ボクのコーナーを先に撮って、翌日が松重さんの本編ガッツリの日だった。
「ふらっとQusumi」の撮影が終わると、スタッフは全員で翌日の「舞子」店内撮影の段取りをし始めた。
『孤独のグルメ』の店内シーンは、だいたい5時間から7時間かけている。
台本のワンシーンワンシーン、監督と照明さんとカメラマンとが、
どのカメラ位置でどう光を当てて、どう撮るかを綿密に打ち合わせて決めていく。
それだけで1時間以上はかかる。
ところで、舞子は駅から遠い。
そしてホテルは駅前である。
撮影スタッフは「ボクらが終わったら、ロケバスで一緒に帰りましょうよ」
と言うので、ボクも気楽に「そうですねぇ」と言った。
そうなるとそのままそこで飲んじゃうじゃないですか。
女将さんは、「じゃ、とりあえずこれでもつまんで」と、白海老の天ぷらを小皿で出してくれて。
これがうまいのなんの。海老そのものが全然違う。
とそこへ、カウンター越しに、「それには、このお酒なんか合うと思いますけど」と
ニコニコと地酒を出してくれて。
マズイわけがない。いやマズイ。
おいしすぎてマズイことになる。
お酒を飲み終わる頃に、別の肴がちょろっと出る。
そして別の酒。これはマズイ。
おいしくて、どんどん飲んでしまう。
結果、スタッフの撮影段取りが終わっても飲みが止まらず、本当に酔っ払ってしまった。
最後にサインとか書いたんだけど全然覚えてない。
「ホテルまで送って、車を降りられる時、ろれつが回ってませんでした」
と翌日ADさんに笑われた。
こんなに酔っ払ったのは、このドラマ10年で初めてだ。
目が覚めたら、パジャマに着替えてホテルで寝ていた。
だけど二日酔いではなかった。
おいしい食べ物といいお酒のおかげだ。
今回二度目の訪問も、またまた最高でした。
写真見ればわかりますね。
本誌では他にも漫画を通した美味しいグルメが紹介されています。
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