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ひと言でカツカレーと言っても、実にさまざまです。
スパイスカレーやとんかつ店、蕎麦屋にもちろん専門店もあって悩ましい品定め。
さらに、どこから食べるか?攻め方も各々のようで…。
今回あまから手帖で特集されている、カツカレーの誘惑をピックアップします。
カツカレーの誘惑
ごちゃ混ぜ願望を封印し、ひとつひとつの味と向き合う

文:藤川 満
渡邉咖喱 梅田本店
カレーを食べる際は人目を気にせず、ごちゃ混ぜにして食べたい。
しかし、「できればひとつひとつの要素を味わってほしいですね」。
早速、店主の渡邉理さんに機先を制せられる。
そりゃ、イカスミを加えたキーマ、鯛と鶏ガラのだしで作ったルゥ、
粉チーズやスパイスを配合した衣で揚げたとんかつなど、
丁寧に作ったものを、いい大人がごちゃ混ぜにしたら、配慮を欠くというもの。
試しに渡邉さんが薦める食べ方に従ってみることにした。
まずは黒カリーという名のキーマから。
スパイシーな粗挽肉はジューシー感がある。
続いてカツを食す。
衣の塩っ気が程よく、そのままでもいける。
そのカツをルゥに浸ければ、シャバシャバなルゥは辛みより、旨みが強く、あっさりな肉質のカツに深みが増した感じだ。
さらにホウレン草のペーストをカレーに添えれば、まろやかさがプラス。
ここでキャベツの酢漬けで仕切り直す。
なるほど確かに、食べる度にさまざま味変できるのは、楽しいではないか。
辛さはさほどでもないが、残りわずかになった終盤。
渡邉さんの目を盗んで、ごちゃ混ぜにしてみた。
様々な要素が融合してこれもいい。
カツの絶妙な大きさからも、ごちゃ混ぜ食べにさえ、配慮が行き届いているのだ。
ルゥはソースの解釈。
食べるときにさっと絡めて

とんかつ一番 2deux
「とんかつソースの感覚でカレーのルゥを作っています。だからまずはルゥから味わってほしいです」
京都の老舗とんかつ店の三代目でありながら、フレンチ出身の井村豪男さんゆえの言葉か。
ならばそのルゥから。
具がすべて溶け込んだルゥは、まさにソースのようなヴィジュアルだ。
口にすればトマトと赤ワインの酸味が立ち、その後にコクと辛さが広がってくる。
10日間かけてじっくり作り込んだデミグラスソースを最後に加えている。
豚のスープの旨みに昆布の風味を加えるなど、和のエッセンスも取り入れているのだが、
あくまで、とんかつを引き立てるためのソースなのだ。
米澤豚のとんかつに、いよいよルゥを付けて味わう。
サックリと揚がった厚めの衣が、ルゥを程よく吸い込み、ゆっくり噛み締めれば、
柔らかな米澤豚のほのかな甘みが、マイルドな酸味のルゥと見事に調和する。
「フレンチでバゲットにソースを付ける感覚」という井村さんの思惑通り、
もはやソースと完全に思えてしまった。
ソースといえば、卓上にある本物のとんかつ用ソースも自家製だ。
カレーにかければ酸味とフルーティーな甘さが増し、意外にも優しい味わいに変化する。
カツを最後まで飽きさせない、ソース×ソースの妙というやつだ。

本誌では、他にも魅力的なカツカレーが紹介されています。
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