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健康診断の数値が基準値を少し超えただけだからといって、安心してはいけません。
未来の健康を守るために、今こそ健康診断の結果を「予防のチャンス」と捉える発想が求められています。
今号のPRESIDENTでは、健康診断の正しい活用方法を保健指導の第一人者・野口緑さんが解説されています。
「早期発見で助かる」という考えはもう古い
労働安全衛生法に基づく日本の健康診断は、測定された数値が基準値を超えているか否かに重点を置いた「早期発見・早期治療」の発想で成り立ってきました。
血圧が高ければ高血圧症、中性脂肪やコレステロール値が高ければ脂質異常症など、それぞれの基準値を超えたら「要精密検査」「要医療」と通知されます。
これまでの健康診断の考え方においては、個々の臓器に病気があるかないかが重視され、将来的なリスクをいかに予防するかという大事な視点が欠けていました。
健康診断を「その時点で異常があるかないか」を判定するだけのものだと思っている人が少なくない のです。
これが、「元気だから受ける意味がない」「わざわざ調べられたくない」と思ってしまう理由です。
「早期発見」の重要性を否定するわけではありません。
ただし、「早期発見」だけの健康診断はもう古いと野口さんは言います。
大きな問題が見つかったときだけ病院に行けばいいという考え方では、「自覚症状がないまま長期の経過を経て発症に至る疾患」には対応しきれないのです。
健康寿命を左右する血管ケア
見過ごされがちなリスクに目を向けて
たとえば、日本人の死因の中でがんに次いで多い心疾患。
血管の劣化によって引き起こされるものでありますが、健康診断では見過ごされてしまうというケースが多いです。
血管の劣化を進める大きなリスク因子である高血圧や高血糖などは、進行しても自覚症状が出ません。
だからこそ健康診断を通してリスク因子の種類や程度を認識し、数値が悪化しているようであれば生活習慣を見直していく必要があります。
健康診断の結果からは、現在の生活習慣を続けて3年後、もしくは5年後「健康な血管」を維持できるかどうかを推測できます。
今の食生活や身体活動量によって血液の中身や血管の劣化の程度が決まり、それを継続した結果20年後の健康を決めるのです。
遺伝的な疾患を除き、ほとんどの血管障害は予防可能なのです。
「ちょっと悪い」人こそ突然死のリスクに注意
60歳以下の現役世代が突然死してしまったケースで、予防し損ねたタイミングを調査しました。
その結果、突然死した人の多くが、 健康診断でわかりやすい大きな異常が出ていたわけではなく、 「少しずつ悪化している」傾向があったと判明したのです。
血圧や血糖値はやや高めでも、高血圧や糖尿病と診断できるレベルではない人がほとんどでした。
つまり、 わずかな異常がじわじわと血管へのダメージを蓄積させていたのです。
そこで私は、病気と診断される基準よりも少し低い 「予備群基準」をオーバーしている人と順に面談し、具体的な指導を進めていきました。
血管の状態の推測に加え、なにげなく続けた食習慣や基礎代謝を下げる生活習慣を、 一緒に探りあてながら改善のヒントをアドバイスする。
これによって血圧やコレステロールの値を下げ、心臓や血管の劣化を進ませないことを目指したのです。
健康診断で大きな異常がないからといって放置するのではなく、数値が悪化してきたタイミングで生活習慣を見直すことの重要性が証明されたのです。
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