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業務メールで使っている言葉、もしかしたら誤用しているかも…!?
ビジネス文書からSNSの流行り言葉まで、国語学者の金田一秀穂先生が難解な『日本語』について解説しています。
間違いだらけの日本語の乱れに警鐘!

取引先にお詫びのメールを送らなければいけないとしましょう。
「このたびは申し訳ありませんでした」
このように書くと、相手は許してくれるどころか、かえって怒り出してしまう可能性があります。
それは「申し訳ありません」、あるいは「申し訳ございません」が日本語として間違っているから。
なぜ「申し訳ありません」は誤用なのでしょうか。
それは「申し訳ない」が一語だからです。
「申し訳ない」は、もともと「申し訳」と「ない」がくっついてできた複合形容詞です。
一語になった以上、その一部を変えて「申し訳ある」と表現するのは間違い。
よって、その否定形である「申し訳ありません」と丁寧にした「申し訳ございません」は誤用なのです。
謝意を正しい日本語で伝えたければ、
「申し訳ないことでございます」あるいは「申し訳なく思います」と書くべきです。
ただ、実際にメールに「申し訳ありません」と書かれて怒り出す人は100人に3人もいないでしょう。
結局、誤った用法が受容されるかどうかは相手しだいです。
「ご苦労様」も「お疲れさま」も失礼
実際によくある敬語の間違いを紹介しましょう。
たとえば目上の人に対して「ご苦労さまでした」というのは厳禁です。
「ご苦労さま」が失礼だとわかる人が「お疲れさまでした」と使うケースもありますが、それも不適当です。
目上の人に対して、労ったり慰めたりすること自体が敬意を欠いています。
外国人留学生が授業終了後に「先生、ご苦労さま」と声をかけてくれることがあります。
悪気がないことは重々承知していますが、面と向かってそう言われてしまうと、やはりいい気はしません。
苦笑いしながら、「そういう場面では『ありがとうございました』と表現したほうがいいよ」と教えています。
敬語に関しては過剰な表現も控えたほうがいいでしょう。
たとえば「ーさせていただきます」という謙譲語がありますが、
たいていの場面では「ーいたします」で十分事たります。
「ーいたします」では丁寧さが足りないと感じる人が「ーさせていただきます」と書くのだと思いますが
過剰な敬語はかえって相手を不快にさせることもあります。
過ぎたるは及ばざるがごとし。
丁寧にさえしておけば失礼に当たることはないだろうと考えるのは容易です。
過剰といえば、企業を「さん付け」する行為も、私にはやりすぎに思えてしまいます。
「プレジデント社さんは業績が好調だ」は「プレジデント社は業績が好調だ」で問題ない。
企業は法人格があるとはいえ、やはり人ではありません。
「さん付けしないと呼び捨てになるのでは」という心配は無用です。
本誌では他にも金田一秀穂先生が指摘する誤用された日本語についてお読みいただけます。
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