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水木しげるさんの妖怪世界は、独特で繊細なタッチがより恐怖感を与え、
日本ならではの妖怪たちを、生で見たことがなくても「“リアル”に表している…」と恐れてしまいます。
2022年の夏に、水木しげるさんの生誕100周年特別企画により
東京・六本木『東京シティビュー』にて妖怪が大集結されました。
今回Discover Japanでは、水木さんの描いた、いわゆる『有名な妖怪』たちとともに、
『日本人と妖怪』の関係性について紹介します。
妖怪は人間が安心するために生み出された
『河童』
『妖怪』を辞書で引くと、人間の理解を超えた不思議な存在や現象のこととあります。
妖怪学研究の第一人者・小松和彦さんはこう話します。
「生活の中で、人間の知識では説明できないものに出合ったとき、昔の日本人はそれを妖怪のせいにして説明してきました。
たとえば、川遊びをしていた子どもが突然いなくなると河童のせいにしたり、夜中に木を切り倒す音がしたけれど、翌朝見てみるとその跡がまったくないことを『天狗倒し』と呼んで天狗のせいにしたり。
理由がわからないままにしておく、ましてそれを自分一人で抱え込むというのは、気持ちが悪いじゃないですか。だから昔の人は、現代から見れば、本質的には何の説明になっていないけれども、理解できない存在や現象に名前をつけて、コミュニティ共通のものとしました。そうしてコミュニティ全体で理解し、共有することで安心してきたのです」
『砂かけ婆』
日本人が名前をつけ、生み出してきた妖怪には、ふたつのレベルがあります。
ひとつは天狗、河童、鬼など、“存在としての妖怪”。
もうひとつは『狸囃子』をはじめ聞こえてくるものなど、『狐火』をはじめ目に見えるものなど“現象としての妖怪”。
「後者は、たとえば化け狐が立てる小豆を研ぐような音を『小豆洗い』、いつの間にか身体に傷がついていることを『鎌鼬』と名づけて呼ぶうち、いつしか名前が一人歩きして、現象としての妖怪から、存在としての妖怪になっているものもあります」
『座敷童子』
その結果、日本には全国各地に多種多様な妖怪が伝わってきました。
その背景には、森羅万象に神が宿ると考える、日本古来の精神性があるといいます。
「八百万の神というように、日本では、名前のついてるすべてのもの、言葉にさえも魂があると考えられてきました。
神といえども怒ることはあるし、中には悪いことをする神もいる。その結果、災害が起こったり、疫病がはやったり。妖怪はそうしたネガティブな面を表しているともいえます。
さらに日本人は、不思議な存在・現象に名前をつけ、妖怪として生み出すだけでなく、姿かたちを表して具現化してきました。妖怪にかたちを与えることで、不思議なものを皆で理解しようとしたからでしょうし、描くことで恐怖などの感情をコントロールする意味合いもあったと思います」
本誌では、妖怪の地域性や妖怪の現れる境界なども語られています。
水木さんの描く妖怪もたっぷり掲載されています。
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