【鏡リュウジが読み解く2024年】「まさか」という出来事が続くのがほとんど常態化

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VOGUE JAPAN では、東西占術で2024年の運勢を大特集!

今回は『鏡リュウジが読み解く2024年の世界』をピックアップします。

 

鏡リュウジが読み解く2024年の世界

 

21世紀も最初の四半分近くが過ぎようとしている。

時代の変化はますます加速し、「まさか」という出来事が続くのがほとんど常態化している。

20世紀なら何年も人々を震撼させ続けていたであろう出来事も、
そこに覆いかぶさるような新たな大事件が起こってくるのだから、
あっという間にそれも過去の記憶の霧の中に消えていってしまう。

 

心理学者のユングは、歴史の中では「時代精神」が大きく変化するときがあると言ったけれど、
今はまさにそのときなのかもしれない。

そして、その「時代、精神」は、一人一人の精神、心と無縁ではない。

 

僕たちは、この歴史の中で生きているわけで、一人一人が時代に大きな影響受ける一方、
一人一人の心が集まって、この歴史を作り出しているのだから。

その個人と時代の「心」はともに星の動きを映し出しているというのが、占星術のセオリーであり、星の動きを占星術のレンズを通してみると、
確かにホロスコープを移ろう星のサイクルと歴史の動きは符合しているように見える。

 

このところの「まさか」をいくつか思い出してみて欲しい。

一時代を築いた大手芸能事務所や芸能組織、あるいは一部上場企業が大きく揺らぐことが続いている。

これは占星術では、冥王星の動きと関連しているように見える。

冥王星は太陽系の彼方を1周250年ほどかけてめぐる天体。

現在の天文天文学では、惑星ではなく「準惑星」に格下げされたが、
現代の占星術の中では、そのプレゼンスは依然として大きい。

 

冥王星(プルート)は神話では地下世界、冥府の王とされ、大規模な「死と再生」を司るとされる。

冥王星は12星座を十数年から20年かけて移動しながら、その星座の司る者を根底から覆し、
その壊れたものの中から新たなものを作り出そうとするのだ
(冥王星のその軌道は、楕円で、一つの星座を通過する期間にはばらつきがある)。

 

過去の冥王星の動きを見てみよう。

冥王星は2008年、山羊座に移動した。

山羊座は人体では「骨格」を象徴するが、社会では基本的な構造、歴史を通して作り上げられてきた組織を表す。

2008年のリーマンショック以降、世界経済は大きく揺れ動き、その影響は甚大だった。

 

その前に冥王星が射手座に移動したのは、1995年。

日本では阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件が起こる。

射手座は「宗教と哲学、精神」を司る星座だが、
その際、以降、心理学者たちがその存在感を増し、心のケアが叫ばれるように。

そして、「宗教」のありようを考え直すことになったのだ。

さらに「Windows 95」の発売とそれに伴う本格的なインターネット時代の始まり。

射手座は「外国」「世界」をも象徴するのだが、
ワールド・ワイド・ウェブは
「世界」を新たなネットワークで結ぶことになった。

さらに、前、冥王星が「性と死」を司る蠍座に入った84年から85年には、
その直前に現れたエイズ(後天性免疫不全症候群)が一気に蔓延し、
人々は「性」の見方を改めて直視するようになったのだ。

 

そして現在、冥王星は山羊座から水瓶座へと移動しようとしている。

実は2023年の3月から6月ごろ、冥王星は一旦水瓶座いと入ったのだが、また山羊座へと戻り、
2024年1月から8月いっぱいまで水瓶座に。

さらに一度山羊座へと戻り、11月下旬から本格的に水瓶座へと移行する。

つまり、2008年から続いている冥王星・山羊座時代のフィナーレと、
水瓶座時代の始まりを僕たちは目撃しているのだ。

 

2024年も「まさか」の連鎖は続くだろう。

それは、大きな組織の倒壊であったり、権力構造の大きな変化であるはずだ。

これまで「あって、当然」と考えられていたものが、あっけなく倒壊していくのを、
間違いなく何度も見ることになる。

 

しかし、それは旧態依然とした内部から腐敗していたもののはずで、滅ぶべきものだったと言えるのかもしれない。

そこから、そこから新たな善きものをつくり出すこともできるはずなのだ。

 

もう少しスケールの小さなところでも、
一人一人が関わっている仕事の組織や家族の問題などにも直面することになるかもしれない。

 

そして冥王星が入ろうとする水瓶座は、「テクノロジーと人間性」のサインだ。

2023年春に水瓶座に冥王星が足をかけたまさにそのときに突如、
僕たちの目の前に現れたChatGPTを始めとする生成AIは、間違いなくこの水瓶座・冥王星時代の先駆けだろう。

人間にしかできないと思われていた創造的な分野における活動の多くを機械がとってかわることになり、
人々は、そのテクノロジーの祝福と呪いを同時に受けるなんて言うこともありえるのだ。

例えば、死者の思考がそのままAIに継承され、
故人とあたかも本当に会話するようなするかのようなことも可能になるのもそう先ではないと言われている。

 

そう、我々は今問われているのかもしれない。

人間とは何か、ヒトとして生きると言う事はどういうことなのか、と。

次のページから始まるあなたの日々への占いの背景には、
こんな大きな問いが控えていることを、少し考えてみてはどうだろうか。

 


 

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