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日々の出来事からお話の種をすくい上げ、絵と文を書き、製本する。
天然生活では、世界で一冊だけのオリジナル絵本を、半世紀近くつくり続けてきた家族をインタビュー。
過ぎていく毎日は、かけがえのないものだから

台所で料理をしていたら、娘が野菜の切り口を見て「きれい」とつぶやいたこと。
息子がお気に入りの布をずっと握りしめていたこと。
飼っていた金魚が水槽から飛び出したこと。
ささやかな日常のひとこまから物語の種を見つけては、絵本を手作りしてきた町田さん家族。
母・万里子さんが中心となり、1970年代より現在まで約90冊の絵本を生み出しています。
「絵本を出版するのはよほどの努力や才能、運に恵まれないとできないけれど、手づくり絵本ならば、思いがあればだれにでもできます。売りものじゃないから、自分の好きなようにつくればいいんですよ」
絵本の中で輝くのはいい子よりも、面白い子
もともと絵本好きで、絵を描くことも大好き。
弘さんと結婚し、やがて長男の穂高さんを授かると、地域の講座に通って製本などを覚えたそうです。
「わが子に初めて見せるのは、自分の手づくりした絵本がいいと思ったんです。でも、いざできあがったのは、赤ちゃんには向かないクイズ絵本でした。私はそれまで小学校の教師をしていたので、知らぬ間に自分の教え子たちが喜ぶお話を考えていたみたい。これから生まれてくる子のことは、まだイメージできなかったのでしょうね」
手づくり絵本には、自分の体験が色濃く写し出されていくもの。
出産後、万里子さんはいよいよわが子を主人公に、絵本をつくりました。
一冊は、赤ん坊の穂高さんといつも一緒にいた、ぬいぐるみのぴよよが相棒の物語。
わが子がぐずって泣き止まなかったり、離乳食をあまり食べなかったり、初めての育児につきものの戸惑いを
ぴよよの存在がなぐさめてくれるようなお話です。
もう一冊は、穂高さんが宇宙船に乗って世界中を旅する物語。
壮大なストーリーには、育児に専念していた万里子さんの思いが投影されています。
「私は旅行が大好きだけれど、赤ちゃんとの生活が始まり、人生で初めてどこにも行けない時期を過ごしていました。だからせめて絵本の中で、行きたい場所へ思い切り出かけたんです」
育児中のままならない出来事も、絵本をつくろうとすると、
視点が変わって客観的に捉えられるように、よくある子ども同士の『おもちゃの取り合い』も、
絵本の種になりました。
ケンカが続いたため、親がおもちゃを片付けたところ、
テーブルや椅子を電車に見立てて仲良く遊びだした……という実話から、物語を紡いだそうです。
「何もないところから遊びをつくり出す子どものすごさを描きたかったんです。子どもって、いくらケンカしてもやっぱり友達と遊びたいんですね」
絵本の中で生き生きと輝くのは、「いい子よりも面白い子」だと万里子さんはいいます。
「自分の子にされると困っちゃうことでも、よその子ならば面白いことってありますよね。『冷蔵庫におもちゃをしまっていた』なんて、親からすれば不衛生だとか、扉を何度も開けてほしくないとか、あるかもしれないけれど、たぶん、冷蔵庫って子どもにはとっても魅力的なんです。おいしいものが次々と出てくるし、扉を開けるとピカッと明かりがつくし。何か事件を起こしてしまう子どもの、その子なりの理由を想像したくなります」
万里子さんのつくる絵本には、登場人物の心の機徴が描かれています。
ひとりで留守番をする心細さ、知らない場所に出かけるときの高揚感、友達をほかの子にとられちゃったようなさびしさ。
「そうだったんだね」と、ただただ認めてくれるような万里子さんの眼差しの温かさが、読む人の心にも染みてくるのです。
記事の続きでは、万里子さんの絵本の詳細や、お父さんが作る絵本の面白さなども紹介されています。
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