《人の気持ちを理解する》子どもの非認知能力を伸ばす『絵本・児童書との関わり方』

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親子の関係を紡ぐツールでもある『本』。

今回FQKidsでは子どもの成長過程で変化する絵本や児童書との関係、親の役割について、
非認知能力を伸ばすという視点から『絵本・児童書との関わり方』について解説しています。

 

絵本は「人の気持ちを推し量る力」を養えるメディア

 

語彙の獲得だけではない
絵本で育まれる非認知能力

 

いつの時代も、親子の愛情を育むツールとして、そして言語能力や語彙を伸ばす教材のひとつとして身近な存在であり続ける絵本。

今回は絵本および児童書と『非認知能力』の関係について
東大CEDEP(発達保育実践政策学センター)でポプラ社と共同の
『子どもと絵本・本に関する研究プロジェクト』に参加する佐藤賢輔特任助教に伺いました。

 

「絵本の読み聞かせや読書は、非認知能力の“感情知性”や“共感性”、つまり“人の気持ちを理解する力”の向上に貢献することが、近年の研究で明らかになっています」

 

一人の世界に没入する『読書』によって、実は人の気持ちを理解する力が伸びるというのは興味深い。

ただし、どんな内容でも培われるというわけではないといいます。

 

「もともと、絵本は非認知能力である“社会性”や“自分や他者を大切にする気持ち”などがねらい・テーマとして作られているものが多くあります。親はねらいを理解し、子どもの性格や好みと照らし合わせた上で本を選べるといいですね。

また、読み聞かせの量や、抑揚をつけたり声色を変えたりと、登場人物の気持ちが伝わる読み方をすることが影響するという研究結果もあります

 

親としての役割は絵本・本が身近な環境づくり

 

とはいえ、子どもに読書週間をつけることは案外難しいそうだ。

 

「日本では、年齢とともに不読率(1ヶ月に1冊も本を読まない子どもの割合)が上がっていきます。幼少期に読まない子どもは大人になっても読まない傾向があるので、やはり幼児期から絵本や本を読む習慣は大切です。

赤ちゃんの時期から絵本を身近に置き、幼児期には読み聞かせをたくさんして親子で楽しさを共有し、次第に自分で読んでみたい気持ちを育むといったように、発達に応じた楽しみ方を親がサポートしていきましょう」

 

全国の小中学生の約3割が、家にある本の数(絵本を含む)が25冊以下というデータもあります。

 

「そもそも家にないと、本がもたらす恩恵を受けられません。近年では、学校や地域の図書館に加え、子ども向けの電子絵本・電子書籍なども増えています。本へのアクセスの仕方を教え、読書が身近にある環境を確保してあげるというのは保護者の大切な役割。ぜひ年齢ごとに『子どもが読書から離れない工夫』をして、親子で読書する喜びを感じてほしいと思います」

 


 

 

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