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自然豊かな北海道標津町のまちで、小さな森を拓き小さな暮らしを営んできた水口さん家族。
2022年春、そんな森の片隅に新しい建物ができた。
建物の名前は『ラナピリカ』。
オーナーの水口郁恵さんが「暮らしを手放さないために」始めた、ありのままの森暮らしをお裾分けしてくれる小さな宿ができるまでの背景を今号のスロウでは、紹介しています。
自然と共生する町の魅力に惹かれて

取材・文・撮影/立田栞那
馬たちが拓いた小さな森、虫取り網を片手に駆け回る子どもたち、木陰でのんびりと休む羊たち。 水口家の暮らしは、文字どおり森の中にあります。
水口家がこの場所にやって来たのは、 今から10年ほど前のこと。
北海道教育大学釧路校・野生鮭研究所に在籍し、研究助手として知床の河川を調査する傍ら、 子どもたちを対象とした川探検プログラムの開発を研究するなど、元々自然に対する関心が高かった郁恵さん。
卒業後は小学校教員として働きながら、拓真さんと共に月一回のペースで「北の川探検隊」の活動を続けていた。
長く環境教育の現場に携わってきた2人。自分たちの子どもが生まれたときに共通していたのは、「やっぱり自然の中で子育てがしたい」という思い。
「子どもたちが自然の中で思いっきり遊べて、 あらゆる体験を吸収できる場所を探しました。
とはいえ、あんまり奥深い場所だと学校に通えない。 子どもたちが歩いて行ける範囲に学校が あって、できるだけ小さなまちという条件で考えたとき、昔暮らしたことがある川北のまちがぴったりだなと思ったんです」
笹薮から始まった“森づくり”
子育てと共に育んだ暮らしと自然

今でこそ、そこは確かに「小さな森」といえるが(実際にはなかなかの広さだが)、2人が家を建てた当時は完全なる笹薮だった。馬の力を借りながら、少しずつ少しずつ開拓を進める日々。
「馬を飼うのも、 刈払機を使うのも、チェーンソーで薪を割るも初めてで。 子育てのためにここに来たけれど、一番育ったのは自分たちかもしれません」。
地面を覆っていた笹が減り、地面に光が当たるようになり、在来の花が芽吹くように。 年を重ねるごとに多様な植物が育ち、それと共に野鳥が増え、一方でダニは減った。
開拓を始めた当時は2人だった子どもたちも、4人に。馬だけでなく羊も仲間入りし、水口家の暮らしはどんどん豊かに、賑やかになっていった。
「そうしたら、暮らしが手放せなくなったんです。 産休・育休が明けて学校の仕事に復帰すると、仕事が10割になってしまって。 暮らしを作る時間が全然とれない。
もちろん仕事も好きだったけど、自分のやりたかった子育て、暮らしができないことのマイナスが大きくなっちゃったんです。 自分の幸せにつながってないなって」。
ずっと関わってきた川の探検隊を事業化できたら、という思いもあった。
それだけで食べていくのは難しいかもしれない。
でも、川の探検家や森遊び、さまざまな要素を掛け合わせてみたらどうだろう?
本誌では、宿『ラナピリカ』オープンの軌跡や郁恵さんが考える自然と触れ合う価値について紹介されています。
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