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クロワッサンでは、誰もがいずれは直面する“親の介護”について、基礎知識から初動の心得、自分を守る考え方まで、いまお伝えできるすべてをまとめています。
介護と向き合った先達の言葉にも学びがあります。
今回は、数あるインタビューの中からドキュメンタリー監督の信友直子さんの介護についてピックアップします。
老いることも人生と教わりました
認知症の母親と献身的に寄り添う父親の姿を記録したドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の監督、信友直子さん。
親の認知症、老老介護、遠距離介護など、誰もが直面しうる悩み、そして家族の絆をとらえた作品は感動を呼びました。
信友さんが、母親の認知症を最初に公にしたのはこの映画を作る元となるテレビの情報番組で。
「葛藤もありましたが、放送後に『悩んでいるのはうちだけじゃなかった』という声が多く寄せられ、勇気をもらいました」
その2年後、映画化させ発表。
「父も母も娘の作品をとても喜んでくれました。それにこれまで日本では認知症当事者が、『自分が自分でなくなってしまう』という苦しい胸の内をさらけだした映像はなかったので、公開して本当によかったと思っています」
母親が認知症と診断されたのは2014年、母親が85歳、父親が93歳のときでした。
症状が進むにつれて母親の言動が変わっていく姿が映し出されていて、
「私が一番悲しかったのは、明るかった母が『私なんかおらんほうがええんじゃ』『あんたらに迷惑かけるだけじゃけん』という自己否定が増えたこと。
ただ、自分の異変に一番苦しんでいたのは母自身。映像を見返していて、あとからそれに気づきました」
母親の認知症がわかったとき、信友さんは仕事を中断して東京から実家のある広島・呉に帰ろうかと悩みましたが…
「父は昔から『自分の好きなことをやりなさい』と言い続けてきた人。親戚から『娘が帰らんでどうする』と圧をかけられましたが、『あんたは東京で仕事を続けんさい。おっ母の面倒はわしがみる』と言い切った」
以来、東京と呉を行き来する生活でしたが、結果的に正解だったといいます。
「番組や映画をきっかけに母と父に社会とのつながりが生まれ、頑固に拒否していた介護サービスを受け入れてくれた。老夫婦で閉じこもる老老介護から脱することができましたし、介護のプロの手を借りることで遠距離介護がうまく回り始めたんです。
今まさに悩んでいる人がいたら、私は介護離職はすすめません。介護はいつか終わるけれど人生は続く。それに今は介護をひとりで抱え込む時代ではないですよ」
その後、信友さんは母親を看取り、現在104歳になる父親と一年のうち4分の3は呉で一緒に過ごしています。
「私は母が認知症になったことで、贈り物をたくさんもらいました。『老いることも含めて人生なんよ』と身をもって教えてもらったように思います」

本誌では、他の方たちの親の介護についても掲載されています。
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