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いつもの山行なら登山の通過点として通り過ぎてしまう河童橋。
でも、そんな贅沢な場所を素通りするなんてもったいない!
名物「山賊定食」でお腹を満たしたり、梓川のせせらぎをBGMに河原でコーヒーを淹れてみたり……。
今号の男の隠れ家では、あえて先へ急がず、上高地の豊かな自然と時間をじっくりと噛みしめる、大人のゆったりプランをご紹介します。
大正池から河童橋まで のんびりと歩いてみる
DAY1 AM11:00 神秘的な大正池から河童橋まで
上高地に向かうバスに乗り釜トンネルを抜けて上高地に入ってくると、焼岳とともに最初に現れるのが大正池だ。
大正池はその名のとおり大正4年(1915)の焼岳の噴火によって梓川がせき止められてできた池で、上高地の象徴的な風景のひとつだ。
かつては今の数倍の大きさがあり、池の中に立ち枯れの木も多かったが、流れ込む土砂の堆積などによって年々面積は小さくなり、枯れ木も少なくなっている。それでもこの風景の美しさは圧巻だ。
大正池でバスを降り、ここから観光客で賑わう河童橋までのんびり散策することにする。
1時間も歩けば河童橋まで着いてしまうが、ここは上高地の爽やかな緑と空気を楽しんで時間をかけて歩きたい。
DAY1 PM0:00 赤く染まる浅い池 不思議の田代池
大正池から田代橋までは“自然研究路”として整備され見どころも多い。
大正池から木道を歩いていくと、まずは中千丈沢の押し出しという開けた河原に出る。
ここは大きな立ち枯れ木とともに焼岳が絵になる場所だ。
さらにカラマツの林の中を先へ進み、サギスゲの群落が広がる田代湿原へと向かう。
白い穂が風になびくサギスゲと後方に見える穂高の稜線。
のどかな景色を眺めながら田代池の標識をたどると、そこにはあっと声を上げる景色があった。
赤く染まる浅い池に木々の緑が映え、まさに不思議の一語。
流れ込む川も赤いが、それらは焼岳の噴出物に含まれる鉄分によるものだそうだ。

DAY1 PM0:00 上高地のシンボル 多くの人で賑わう河童橋
田代橋まで来たら梓川の右岸を歩いて河童橋へ。
耳に届くのは目も覚めるエメラルド色の梓川の瀬音。そして対岸には穂高山脈と対峙するように霞沢岳や六百山がそびえている。
途中には、日本の近代登山を拓いたウォルター・ウェストンのレリーフがあり、上高地を愛した彼の想いを今に伝えている。 天地を浄めるような清冽な流れ。
槍ヶ岳から谷を下ってくる梓川は、秀麗な峰々とともに河童橋に佇む人たちの目を釘づけにする。
川のたもとには風に揺れるケショウヤナギやケヤマハンノキなどの川辺林。
河童橋の正面に見えるのは、岳沢から扇のように広がる穂高の山々だ。
川と山の構図は見事なほどバランスが良く、また、橋からの仰角20度はちょうど意識して見上げる絶妙な角度なのだそうだ。
河童橋は昨今、国内だけでなく海外からの観光客で大賑わい。
その河童橋の喧騒を楽しみながら、レストランで食事をとり、梓川沿いのベンチでコーヒーを飲んで過ごした。
今日の宿は上高地の小梨平キャンプ場だ。いつもの山行なら通り過ぎてしまうだけの上高地だが、のんびり雰囲気に浸ることにしよう。
文/佐藤佳穂
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