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宿主から宿主へと移り住む寄生虫。
それは単に栄養を吸い取るだけでなく、ときに人間の行動にまで影響を与えるといいます。
今号のムーでは、そんな人間の行動を支配する恐るべき生物、寄生虫の都市伝説を紹介します。
寄生虫でアレルギーが防げる!?
花粉症で悩んでいる人は非常に多いです。
環境省によれば、2019年には人口の39.8%、ほぼ3人にひとりがスギ花粉症と推定されるといいます。
スギ花粉症以外のイネ科やブタクサ花粉症も増加しており、2019年には25.1%になっています。
こうなると国民病です。
日本における杉の森林面積はそれほど大きく変わっていません。
1970年代からほぼ横ばいが続いています。にもかかわらず、スギ花粉症は激増しています。
つまり原因は杉ではなく、人間側にあることになります。ストレスや食生活の洋風化など、理由はいろいろ挙げられていますが、いずれも決定打にはなっていません。
そうしたなか、1990年代になると花粉症の原因は、環境が清潔になってお腹から回虫がいなくなったためだという説が広がりました。
言い出したのは、国立公衆衛生院微生物学部長(当時)の井上栄氏や東京医科歯科大学名誉教授の故・藤田紘一郎氏ら。
メカニズムはこう。
異物が体内に入るとそれを排除しようと抗原抗体反応が働きます。回虫や虫などの寄生虫は異物であり、抗原。
抗原を追い出すために、体のなかでは抗体がつくられます。それが免疫グロブリンE抗体というたんぱく質で、肥満細胞に働きかけ、細胞内に蓄えられているヒスタミンなどの化学物質を放出させます。
化学物質は寄生虫を体外に排出するように平滑筋を収縮させ、血管が拡張したり炎症を起こしたりします。
花粉症も仕組みは同じで、花粉が抗原となり、鼻粘膜の肥満細胞からヒスタミンなどが放出されます。ヒスタミンによって粘膜が炎症を起こし、鼻水やくしゃみ、涙などで体外に花粉を押し出そうとします。
1970年代から日本人の寄生虫感染率は劇的に低下しましたが、一方で免疫グロブリンEによる免疫機構はそのまま生きています。
そこにスギ花粉などが入ったために花粉症が起きたといいます。寄生虫が体内にいると、寄生虫を抗原とした免疫グロブリンE抗体が鼻粘膜の肥満細胞に結合。
そのため、花粉が鼻粘膜の細胞と結合できず、花粉症にならないと言われています。
寄生虫で花粉症抑制――その真偽やいかに?
倉持館長に花粉症のことを訊ねると、「あまりに問い合わせが多いものですから、これは免疫の先生に聞いてきました」とのことでした。
寄生虫学は寄生虫の生態を明らかにし、寄生虫を効果的に駆除する方法や薬品を見つけ出すことが本道です。
寄生虫が変異して、これまでの薬が効かなくなったときにどうするか(実際、今はマラリアが変異して薬が効かないのだそうです)や創薬などを研究します。
人間に寄生虫が寄生して花粉症になるのなら寄生虫学の出番ですが、寄生虫に寄生されると病気の予防や治療ができるという話は筋が違います。
本誌ではさらに、記事の続き「寄生虫でアレルギーが防げる?」の結論や、他にも「サナダムシでダイエット」「クジラが増えるとアニサキスも増える!?」といったトピックをご覧いただけます。
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