うさぎと暮らすの編集長インタビュー

編集長プロフィール

マガジンランド
「うさぎと暮らす」編集長 芦田万里子さん

あしだまりこ 2004年マガジンランド入社。2008年から『うさぎと暮らす』編集長。

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第48回 うさぎと暮らす 編集長 芦田万里子さん

マニアックな方にもビギナーの方にも時代のニーズにあった形で

―2011年はうさぎ年です。何か特集はされますか。

創刊は2001年。今年はうさぎ年で創刊10周年だ
創刊は2001年。今年はうさぎ年で創刊10周年だ

季刊で2・5・8・11月発売なので新年号というか、11月発売の冬号になるのですが、ちょうど日本語出版40周年でもあるピーターラビットを特集しています。特別付録としてオリジナルのピーターラビットステッカーも付けました。
巻頭特集は今回初めて読んでいただける方にも楽しんでいただけるように、「立ち耳VS垂れ耳」と題し、基本の品種をご紹介しています。さらにこれまで掲載した人気のグラビアをまとめた写真集『となりのうさぎちゃん』も同時に発売しました。連載がこういった形で本になっていくのはうれしいですね。

―雑誌から生まれる本も多いのですか。

連載から生まれたベストセラー
連載から生まれたベストセラー

これまでに発行した書籍は全て雑誌の企画から出発しています。医学の記事をまとめた本、マッサージの本、そして特に人気なのは飼育書『うさぎと一生暮らす本』です。創刊号から蓄積されてきた情報を集約して、誕生から最期のお見送りまでをカバーした内容は、他の飼育書とは一線を画していると自負しています。
お宅訪問取材で読者さんのお家に伺うと、バックナンバーをずらりと揃えていらっしゃる方が多いんです。とても大事に読んでいただいて、雑誌が愛されていることを実感しています。もう創刊して10年の歴史がありますし、競合誌もほとんどない中で、飼い主さんにとっての重要な情報源として、ショップなどでも勧めていただけているようです。

―うさぎを飼ってる方ってどのくらいいるんでしょう。

登録が必要なわけでもないので正確にはわかりませんが、犬や猫に次いで飼っている人の数は3位だといいます。でも2位と3位との間は相当開いているみたいですが(笑)。

―芦田さんももちろん飼っておられる。

ええ。私は小さいころから猫、犬、ハムスターも飼っていたんですが、うさぎは大人になってから飼い始めました。飼い始めるとこれまで飼ったどの動物よりもはまってしまいました。
それで『うさぎと暮らす』の熱心な読者になって、働いていた編集プロダクションを辞めてこちらに入れてもらいました(笑)。12号から編集に参加し、27号から編集長になりました。私で3代目の編集長になります。

―じゃあ趣味と実益とが一致したわけですね。

編集部は3人体制
編集部は3人体制

そうですね。とにかく取材でも、いろんなうさぎに会えますから楽しいですね。読者の方は20~40代の女性が多いのですが、うさぎを通じたいろんな出会いも生まれて面白いです。
うさぎって、知れば知るほど奥が深いし、面白いんです。鳴かないのですが、表情とかをよく観察していると、怒ったり、いたずらをたくらんでいたり、喜怒哀楽があって、なかなか知恵ものなんですよ。

―それで、よく物語にも出てくるんですね。「ピーターラビット」もそうでしょうが、我がほうだと「うさぎとカメ」とか「かちかち山のたぬきとうさぎ」とか。

なんだかずるがしこい役で出てきますよね(笑)。やはり知恵ものだから、そんなキャラになってしまうんでしょう。目線もなんだか上から目線っぽいんですよ。犬と猫の中間くらいかもしれません。犬ほど忠実ではないが、猫ほど気まぐれでもない。

―ブランドものとかもあるのですか。

純血種も増えてきていますが、やはり多いのは雑種ですね。ショップで売られている値段も様々です。ただ購入の際は値段や品種のブランドなどで選ぶのではなく、ちゃんとした知識を持ったショップでの購入をお勧めしています。
うさぎは犬猫に比べると病気をしっかりチェックできる獣医さんがまだ少ないのが現状ですし、不調を表に出しづらい動物なので、長生きしてもらうには飼い主さん自身でしっかり勉強しながら飼っていく心構えも必要です。
寿命は平均すると5年くらいと言われていますが、ちゃんと飼ってあげたら10年以上長生きする子もいるんですよ。

―雑誌を中心にコミュニティが広がっていますね。

カレンダーは在庫切れの人気商品だ
カレンダーは在庫切れの人気商品だ
定期購読読者むけの付録もかわいい
定期購読読者むけの付録もかわいい

ええ、コアな内容なので、読者の結びつきが濃いですね。また我々もショップとコラボしたイベントをするなどして、読者さんとの交流を図っています。講習会をやったり、写真の撮り方を教えたり…。
特に人気なのは、プロのカメラマンによる撮影会ですね。その写真が掲載されると、とっても喜んでもらえます。携帯サイトにもうさぎの写真を投稿できるコーナーがありますので、そういった場所も利用して皆さんで「うちの子自慢」も楽しんでもらえたらと思っています。投稿写真だけで作るカレンダーも毎年2種類出していて、とても人気があります。

―雑誌の重要な財産であるコミュニティをしっかり運営されている。これは雑誌の原点であると同時にこれからのビジネスモデルでもあります。

うさぎって、犬のように近所で同じ飼い主の方とお散歩中に出会うといったことがないので、飼育の悩みなどを相談したい時、ネットで仲間を探すことが多いんですね。そんな人たちの情報交換の場として、コミュニティがしっかり立ち上がっているのだと思います。
自分のうさぎ自慢、情報交換、病気の対応、飼育用品の良し悪し、などがやはりメインの話題になっているようです。我々もそんなニーズを掬うべく、ユーザー対応を考えています。

うさぎに関する書籍も雑誌から生まれてくる
うさぎに関する書籍も雑誌から生まれてくる

―なるほど。うさぎのDVDを付けて、動画でもわかりやすく知識を得てもらうとかは。

『うさぎと暮らす式 新マッサージ大事典』では、マッサージ動画をDVDで見ていただけるようにしましたが、雑誌ではまだです。携帯サイトで動画投稿コーナーを作ってみようかという案も出ているので、これからそういったことも企画していくかもしれません。

―今後の課題などありましたら。

専門誌として、マニアックな部分も掘り下げつつ、ビギナーの方にも常に門戸を開き、その時代時代のニーズにあったテーマを取り上げていこうと思っています。楽しい話題だけでなく、最近では捨てうさぎといった社会的な問題も取り上げたりしています。これからもアンケート葉書などで読者の声を聞きながら、しっかりした誌面作りをしていきたいですね。
実はもう少ししたら、編集長が交代するんです。編集長の個性で雑誌の見せ方は変わるでしょうが、いま言ったような本質は変わらないと思います。どうか末永く『うさぎと暮らす』をご愛読くださいますよう、よろしくお願いします。

編集長の愛読誌

  • 1..森ガールLesson3 胸キュン秋冬森ガール (宝島社)

    うさぎ柄のバッグが付録についていたので飛びつきました。

  • 2.kraso (フェリシモ出版)

    ミッフィーやうさぎの雑貨、うさぎ柄の洋服などが見つかるのでチェックです。

  • 3.haco. (フェリシモ出版)

    同上

  • 4.MOE (白泉社)

    絵本が好きなので、よく見ています。

  • 5.音楽と人(音楽と人)

    音楽も好き。趣味はライブに行くことです。

(2010年11月)

取材後記
うさぎが知恵ものであるという芦田さんの言葉は面白かった。表情が乏しい分、人はそのビミョウな部分にいろいろ想像を働かせるのでしょうね。昔からよく民話などに登場してきたのがよく分かります。
そんな身近な動物であったにもかかわらず、普段あまり接することのないうさぎ。動物のみならずそんなことって多いのでしょうね。うさぎと暮らすことで、たぶん見えて来なかった世界との出会いもあるんだろうなあ。動物との距離が近かった生活が、いまでは失われていますから。
なんだか、もっと古い物語と一緒に暮らせという警鐘のようにも思えてしまいました。

インタビュアー:小西克博

大学卒業後に渡欧し編集と広告を学ぶ。共同通信社を経て中央公論社で「GQ」日本版の創刊に参画。 「リクウ」、「カイラス」創刊編集長などを歴任し、富士山マガジンサービス顧問・編集長。著書に「遊覧の極地」など。

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