
この記事が掲載されている雑誌は、こちらからお読みいただけます。
記事の有効期限以降は本誌は非公開となります。ご了承ください。

※PRESIDENT(プレジデント) 2024年6/14号 (発売日2024年05月24日)の誌面を基に記事を作成しています。
朝食の定番、『パンと牛乳』が体調不良やイライラの原因かもしれません。
PRESIDENTでは、心と体を整える、老けない食べ方を栄養療法の第一人者・医師の溝口徹先生が解説します。
▼目次
小麦と牛乳で腸はボロボロに
「毎日、朝はパンを食べる」「健康のために牛乳を飲むようにしている」という人は多くいます。
小麦や牛乳は、多くの人が長年の習慣で毎日とっています。
もしあなたが疲れ知らずの体で、健康には大いに自信があるというなら問題ないかもしれません。
しかし、体になんらかの不調を感じている場合は、毎日とっている小麦と牛乳には注意してほしいのです。
いつものパンやパスタ、うどんに含まれるたんぱく質が、心と体の不調を引き起こす原因となっている可能性があります。
悪さをしていると考えられるのは、おもに『グルテン』です。
体に悪いグルテン
小麦粉には、『グルテニン』『グリアジン』と呼ばれる2種類のたんぱく質が含まれています。
小麦粉に水を加えてこねると、2つが絡み合って『グルテン』に変化するのです。
パンのふわふわ感やうどんのもっちり感は、このグルテンが生み出していますが、
一方で老化、肥満、疲れ、便秘や下痢などの体の不調に加え、
イライラ、うつ、集中力低下などのメンタルの問題にも関係していることがわかってきました。
グルテンの典型的な症状があるわけではなく、どんな問題が起こるかはその人の体によって違ってきます。
そのため、自分ではグルテンが原因だと気づきにくいのです。
腸が荒れていると老化が進む!グルテンとカゼインの共通点
グルテンと同じような性質を持っているのが、牛乳やチーズなどの乳製品に含まれるたんぱく質『カゼイン』です。
カゼインとは?牛乳やチーズに含まれる成分と「ホエイ」との違い
牛乳に含まれるたんぱく質のうち、カゼインが8割、残りの約2割がホエイです。
グルテンとカゼインには共通点があります。
私たちの持っている消化酵素では分解しきれない構造になっているのです。
たんぱく質は通常、消化酵素によって分解され、アミノ酸となって小腸から吸収されます。
ところがグルテンやカゼインは、消化されないまま小腸の中に長時間とどまってしまいます。
その結果、腸の粘膜が炎症を起こします。
腸の粘膜が荒れると、目の粗いザルのような状態になります。
健康な腸の粘膜は体に必要な栄養分だけを吸収しますが、
目の粗いザルになってしまった粘膜は十分に分解されていない大きな分子も通してしまうことになるのです。
その結果、便秘や頭痛、うつなどの全身症状をもたらします。
カゼインアレルギーや腸の炎症が全身の不調を招く
腸が荒れているときは、食品アレルギーも起こりやすくなります。
小腸から吸収された大きな分子の中に食材の特性が残り、それが抗原となってアレルギーを起こする可能性が高まるのです。
グルテンやカゼインがもたらす不都合な影響はほかにもありますが、
まずは『未消化のたんぱく質が腸の中にあるのはよくない』と覚えてください。
老化と腸の衰えは深く関係しています。
腸で炎症が起こると、老化の原因である活性酸素を体内に送り込み続けることになるのです。
老化を防止するには、腸をいかに刺激せずにいい状態で保つかが大事です。
そのためには、小麦や乳製品を控えることが重要なのです。
グルテンとは?何が悪いのか?脳への影響を解説
小麦や乳製品には、依存性があるのも問題です。グルテンフリーやカゼインフリーを実行しようとしても、「パンやパスタ、牛乳やヨーグルトがどうしてもやめられない」という人がいます。
これは本人の意思が弱いのではなく、グルテンやカゼインのアミノ酸配列に問題があるのです。
たんぱく質は20種類のアミノ酸がつながってできています。グルテンとカゼインの代謝産物のアミノ酸配列を見ると、モルヒネに似た部分があります。
モルヒネはアヘンに含まれる最も作用の強い物質で、麻薬性鎮痛薬です。
グルテンやカゼインを摂取すると、その代謝産物は脳の関門といわれる血液脳関門を通過してしまい、脳内にあるモルヒネなどが結合するレセプター(受容体)とくっついて、中毒症状を引き起こします。
「もっと食べたい」「毎日食べたい」という状態になるわけです。
加えて、グルテンやカゼインの代謝物は正常な神経伝達物質を阻害します。
心の安定に欠かせないセロトニンやGABAが出にくくなったり、神経を興奮させるノルアドレナリンを過剰に分泌させたりします。
すると、記憶があいまいになる、情緒が不安定になる、うつになる、興奮しやすくなるなどの症状が出ます。
グルテンフリー・カゼインフリーに期待できる効果と実践方法
まずは2週間!「グルテン不耐症」やアレルギーを疑う人が実践すべきこと
グルテンやカゼインが不調の原因になっていないか確認するためには、一度完全に抜いてみるのが有効です。グルテンやカゼインが含まれている食品を一切とらないようにするのです。
効果を確かめるために、2週間は続けてください。約2週間で腸の粘膜が入れ替わるからです。グルテンとカゼインが腸にもたらす影響は非常に似ていますから、抜くときには同時に試すのが効果的です。
2週間やめてみて、体の調子が良ければ、小麦や牛乳へのアレルギー反応が起きていた可能性もあります。
多くの人が、グルテンフリーとカゼインフリーによってお肌の調子が良くなる、集中力が上がるといったうれしい変化を実感しています。
最初の2週間は徹底して抜く必要がありますが、その後に長く続ける場合には、完全なグルテンフリー、カゼインフリー生活が難しいこともあるでしょう。その場合は、摂取を控えめにするだけでも体の調子が良くなる人は多くいます。
グルテンフリーで体が劇的に変わった
グルテンに関する興味深い症例を一つご紹介しましょう。私のクリニックには、栄養療法による症状の改善を求めて多くの患者さんがいらっしゃいます。
Aくんもその一人でした。小学校6年生のころから、音が気になる、集中でできずに歩き回る、授業中におしゃべりしてしまうなどの行動が出ていました。
病院を受診すると、ADHD(注意欠如・多動性障害)と診断され、薬を処方されました。
薬を服用することで授業中はなんとか席に座っていられるという状態でした。
Aくんが毎日食べているものを確認すると、パンや乳製品が大好きとのことでした。
検査をしたうえで、グルテンフリー、カゼインフリーの「食事療法」とサプリメントを利用した「栄養療法」を試してみることにしました。
それまでは疲労感が強く、車で学校へ送っていかなければならないほどでしたが、1カ月ほどで元気になり、毎日、自分で学校へ行けるようになりました。
3カ月後には、自分以外のことに興味を持ち始め、友達とのもめごとも少なくなったそうです。
そして、発達障害の薬もやめることができました。
本誌ではさらに、「グルテンをとると太りやすくなる理由」「甘い菓子パンが老化を進めるワケ」などについて紹介しています。

【編集部だより】ゆるっと始める「マイ・グルテンフリー」のすすめ
私も、実は日々の生活で「なるべくグルテンをとらない」ことを心がけています。
とはいえ、いきなりラーメン・パン・パスタをやめて、小麦を「完全にゼロ」にするのは、なかなか難しいもの。そこで私は、ストレスを溜めないようにマイルールを決めて実践しています。
- 家で食べるパンは、グルテンフリーや全粒粉パンを選ぶ
- コンビニのパンは買わないと決める
- 外食のときは制限せず、おいしく楽しむ!
これだけでも、体がすっきりと軽くなるのを実感しています。
また、私自身もともとアレルギー体質で、ときどき肌にかゆみが出てしまうのが悩みだったのですが、グルテンを控えるようになってからは、そのかゆみが出る頻度がぐっと少なくなったのには驚きました。
以前、海外へ旅行した際、街中にグルテンフリー専門のレストランやカフェがたくさんあり、スーパーの棚にも当たり前のように選択肢が並んでいることにとても驚きました。日本では、あまりその意識を持つ方は少ないですよね。
一流アスリートであるサッカーの長友佑都選手やメッシ選手なども、パフォーマンスの向上やコンディション維持のためにグルテンフリーの食生活を取り入れていることで知られています。
「最近なんとなく体がだるい」「イライラしやすい」と感じている方は、まずはコンビニパンを控えてみる、週末だけグルテンフリーにしてみるなど、実践してみてください!
この記事が掲載されている雑誌は、こちらからお読みいただけます。
記事の有効期限以降は本誌は非公開となります。ご了承ください。






