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世界最高峰の経営大学院、ハーバード・ビジネススクール。
毎年入れ替わる数多の教材の中で、30年以上も学生に学び続けられている「日本企業」のケースがあることをご存知でしょうか。
「なぜ日本企業の経営哲学が、業界も国籍も異なる世界のエリートたちをこれほどまでに魅了しているのか」そこには、あらゆるビジネスに応用可能な普遍性と、学生の発想を刺激する「クールなコンセプト」としての魅力が隠されていました。
トヨタ、楽天などの事例研究がハーバードで採用され続けるのか
2025年8月26日、米ボストンのハーバード・ビジネススクール(ハーバード大学経営大学院)で新入生オリエンテーションが開催され、約900人が学生生活をスタートさせた。
今年度の日本人学生数は、例年と同じ約10人。
学生ビザも無事に取得し、予定どおり入学することができたという。新入生たちは、これから2年間にわたって「世界を変えるリーダー」になるための教育を受けることになるが、ハーバード・ビジネススクールの授業は全て「ケース」と呼ばれる教材を基に議論形式で進められるのが伝統となっている。
「ケース」に書かれているのは、実際に政財界で活躍するリーダーが直面した事例。
授業ではケースを題材に、「あなたがこの企業の経営者だったらどうするか」「あなたがこの国のトップだったらどういう決断を下すか」といったことを議論する。
学生は年間約250本、卒業までの2年間で約500本のケースを学ぶといわれている。そのほとんどはアメリカ企業の事例だが、時折、外国企業の事例が取り上げられることがある。
その中で日本企業のケースは、長く愛用されているのが特徴だ。
トヨタ自動車のケースは30年以上、JR東日本テクノハートTESSEI(テッセイ)と楽天のケースは10年以上、MBA(経営学修士)の必修科目などで採用されていて、今年度の入学者もこれらのケースを学ぶ予定だという。
学生から人気のないケースはあっという間に淘汰されてしまうなかで、これはある意味、偉業といってもいい。なぜこれらの企業は長く愛されてきたのだろうか。
トヨタ自動車
「トヨタ自動車の事例が特に印象に残っているのは、トヨタ生産方式の基本的なコンセプトが製造業だけではなく、ヘルスケア、食品、ITなどどの業界にも応用できるからだと思う」とハーバード・ビジネススクールの学生アレックス・リビングストンは話す。
学生たちに「日本企業の事例の中でどれが最も記憶に残ったか」と聞くと、必ずといっていいほど名前が挙がるのがトヨタだ。
必修科目「テクノロジーとオペレーション・マネジメント」で使用されているケースは「トヨタ・モーター・マニュファクチャリングUSA」(「Toyota Motor Manufacturing, U.S.A., Inc.」)。
その巻末には「カイゼン」「自働化」などの用語集も付いていて、トヨタ生産方式の思想やキーワードをそのまま日本語で学ぶことになっている。
トヨタの事例がこれほど学生たちの記憶に残っているのは、何よりもトヨタ生産方式が発想力を刺激するからだろう。
リビングストンが「前職のサザビーズの美術品運搬作業にすぐに応用できると思った」と言うように、学生たちにとっては「入学前に在職していた会社にはこんなふうに応用できる」「あのカフェの業務はこんなふうに改善できる」といったアイデアが次々と浮かぶ「クールなコンセプト」になっているようなのだ。
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